Otoni, Cristiane C., et al.
"Serologic and fecal markers to predict response to induction therapy in dogs with idiopathic inflammatory bowel disease." 
Journal of veterinary internal medicine 32.3 (2018): 999-1008.

PubMedリンク PMID:29624721 
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タイトル:特発性炎症性腸疾患の犬において導入治療の反応を予測するための血清学的および糞便マーカー

==アブストラクト=== 
背景
:特発性炎症性腸疾患(IBD)の犬における 疾患過程を評価するためのマーカーについては、ほとんど情報が入手できない。

目的
特発性炎症性腸疾患の犬の治療前と後とにおける血清学的および糞便のバイオマーカーと疾患の重症度との間の関係性を評価すること。

動物:特発性炎症性腸疾患の犬16頭と健康な犬13頭。

方法:前向きの症例対照研究。犬のIBD活性指数(CIBDAI)臨床スコア、血清C反応性淡白(CRP)濃度、核周囲型抗好中球細胞質抗体(pANCA)、および血清および糞便の犬カルプロテクチン(cCP)を、治療前と治療後21日で測定した。

結果:IBDのある犬で治療前の血清CRP(中央値 3.5mg/l;範囲 0.1-52.4mg/l)、糞便cCP(中央値 92.3μg/g;範囲0.03-637.5μg/g)、CIBDAIスコアは、治療後のCRP(中央値0.2mg/l;範囲0.03-27.9μg/g;p<0.001)、糞便cCP(中央値 0.67μg/g;範囲0.03-27.9μg/g;p<0.001)CIBDAI(p<0.001)と比較して有意に上昇していた。治療前または治療後の血清バイオマーカーとCIBDAIスコアの間には有意な関連はなかった。治療前の糞便cCPとCIBDAIには有意な関連があった(rho=0.60、p=0.01)。CRPと糞便cCPは、治療後に有意に減少した(それぞれ中央値 3.5mg/l v.0.2mg/l;p<0.001、92.3μg/g v.0.67μg/g;p=0.001)。

結論と臨床的重要性
:われわれのデータでは糞便中のcCP濃度の測定が腸の炎症を非侵襲的に評価するためのバイオマーカーとして有用であることを示した。重篤な消化管疾患の兆候を示す犬では、重篤でない犬よりも頻繁にもマーカーの異常がみられた。
 

==訳者コメント===
 結論のところで“
糞便中のcCP濃度の測定が腸の炎症を非侵襲的に評価するためのバイオマーカーとして有用である”とありますが、腸の炎症をどう評価してこの結論になったのかよくわかりませんね。詳細は本文を確認する必要がありそうです。