Raghu, Chantel, et al.
"Evaluation of potential serum biomarkers of hepatic fibrosis and necroinflammatory activity in dogs with liver disease."
 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:29485210
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タイトル
:肝疾患のある犬における肝臓の線維化と壊死炎症活性の可能性のある血清バイオマーカの評価

==アブストアラクト===
背景:血清インターロイキン6(IL-6)、ケモカインリガンド2(CCL2)、C反応性淡白(CRP)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ:アラニントランスアミナーゼ比(AST:ALT)が、様々な肝臓疾患をもつヒトにおいて線維化と壊死炎症活性と相関している。

仮説/目的:様々な肝臓疾患をもつ犬において、血清IL-6、CCL2、CRP、AST:ALTの上昇が、中程度から重度の線維化もしくは壊死炎症活性と関連するかどうかを調べること。

動物:肝臓疾患の臨床的な証拠のある家庭飼育犬44頭と、健康な純血種犬10頭、すべてで腹腔鏡または開腹術で肝生検を実施。

方法
:予定された肝生検の前に血清IL-6、CCL2、CRP、AST、ALTを測定し、肝臓の病理組織検査を臨床徴候を隠した状態で、ヒトの医療で用いられているMETAVIRスコアリングシステムにより評価した。

結果
:血清IL-6の中央値は、線維化スコアの低い犬(7.6pg/ml;範囲1.4-148.1pg/ml)に比べて、線維化スコアの高い犬(15.5pg/ml;範囲1.4-235pg/ml)でおよそ2倍であり、わずかに有意であった(p=0.5)。血清CCL2の中央値は、検出できる壊死炎症のない犬(326pg/ml;範囲59-1692pg/ml)に比べて、活動性の壊死炎症のある犬(444pg/ml;範囲144-896pg/ml)では有意に高かった(P=0.08)が、群間にはかなりの重なりがあった。CRPとAST:ALT比おいずれも、線維化と壊死炎症スコアに基づいて有意な差はなかった。

結論と臨床的重要性
:犬の間の実質的な変動のため、様々な慢性肝臓疾患の犬において、線維化もしくは壊死炎症の同定としてのIL-6とCCL2のそれぞれの単回測定の診断的有用性は限られていた。これらのバイオマーカの価値は、慢性の肝臓疾患のある個々の犬における治療への反応をモニターすることでさらなる検討をすべきである。