Kook, Peter Hendrik, C. E. Reusch, and M. Hersberger.
"Prospective long‐term evaluation of parenteral hydroxocobalamin supplementation in juvenile beagles with selective intestinal cobalamin malabsorption (Imerslund‐Gräsbeck syndrome)."
 
Journal of veterinary internal medicine(2018).

PubMedリンク PMID:29572946
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タイトル
:選択的腸管コバラミン吸収不良(Imerslund‐Gräsbeck症候群) のある若いビーグルにおける非経口ヒドロキソコバラミン補充についての前向き長期評価。

==アブストラクト===
背景
:遺伝性の選択的コバラミン吸収不良Imerslund‐Gräsbeck症候群;IGS)のあるビーグルに対する維持治療の前向きな研究は欠如している。われわれの経験では、メチルマロン酸(コバラミン依存性の代謝産物)の測定は、血清コバラミンの測定に比較して、コバラミンの状態をモニターするのにより役立つようである。

目的
: IGSのあるビーグルにおける標準化されたコバラミン補充のスキームを評価すること。我々は、1mgのヒドロキソコバラミンの非経口単回投与は、臨床的および代謝的な寛解を2ヶ月まで維持するものと仮説を立てた。

動物
:遺伝的にIGSと確定された家庭飼育の若いビーグル6頭と、健康な対照犬28頭。

方法
:前向き研究。 毎月のヒドロキソコバラミン(1mg)筋肉注射による補充を、6頭の犬で中央値として9ヶ月間(範囲 6-13)行い、次いで2ヶ月毎の注射を5頭の犬で中央値として6ヶ月間(範囲 3-10)行った。健康状態は、注射日ごとのルーチンの臨床検査と飼い主の観察によって評価した。ヒドロキソコバラミン投与直前に排尿による尿を採取し、ガストログラフィー-タンデム質量分析(GC-MS)法を用いてメチルマロン酸-クレアチニン濃度を測定した。

結果
:毎月および2ヶ月毎のヒドロキソコバラミン補充を受けている間、すべての犬は臨床的に健康であった。健康な犬における尿中メチルマロン酸の結果は、1.3-76.5 mmol/mol クレアチニンの範囲(中央値 2.9)であった。IGSで、毎月の注射を受けている犬 (n=49、5.3 mmol/mol クレアチニン 範囲;2.3-50.4)と、2ヶ月に1回の投与を受けている犬(n=31、5.3 mmol/mol クレアチニン 範囲;1.6-50)の間で、尿中メチルマロン酸の濃度に差はなかった。

結論と臨床的重要性
:毎月もしくは2ヶ月毎のヒドロキソコバラミン1mgの非経口投与の維持は、代謝検査でモニターしたIGSのビーグルにおいては適切であるようだ。
 

==本文から===
はじめにから抜粋
・ヒトではamniolessもしくはcubilin遺伝子のいずれかの変異が、 Imerslund‐Gräsbeck症候群(IGS)として知られる選択的コバラミン吸収不良を引き起こす。
・犬でもヒトのIGSと同等な選択的腸管コバラミン吸収不良が、オーストラリアンシェパード、ビーグル、ボーダーコリー、ジャイアントシュナウザーで述べられている。
・この疾患はまれであるが、罹患犬種における実質的なキャリアーが注目されていおり、地域によっては発生はより一般的である。
・IGSの臨床徴候は通常、胎児期のコバラミンの貯蔵が徐々に減少することで
若齢期に起こる。典型的な臨床徴候は、成長障害、食欲不振、元気消失である。乳児と同様に、犬でも間欠的な発熱、舌炎、アフタ性口内炎、知覚障害などの微妙な臨床徴候を示す可能性がある。