Pijnacker, Tera, et al.
"Use of basal and TRH‐stimulated plasma growth hormone concentrations to differentiate between primary hypothyroidism and nonthyroidal illness in dogs." 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:29736988
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:犬の一次性甲状腺機能低下症と非甲状腺疾患とを区別するための基礎およびTRH刺激の血漿成長ホルモン濃度の使用

==アブストラクト===
背景:血漿総チロキシン(TT4)濃度の低値と、基準範囲内の血漿TSH濃度の組み合わせは、犬において甲状腺機能低下症と非甲状腺疾患を鑑別しない。甲状腺機能低下症は、TSH放出ホルモン(TRH)によって誘導される成長ホルモン(GH)の上昇と関連する。

仮説:基礎およびTRH誘導の血漿GH濃度は、甲状腺機能低下症の犬を、非甲状腺疾患の犬から鑑別する。

動物:甲状腺機能低下症の持続的な徴候があり、血漿TT4濃度が低く、血漿TSH濃度が参照範囲内の犬21頭。

方法:症例対照研究。甲状腺シンチグラフィーを行い、甲状腺機能低下症がある犬もしくは非甲状腺疾患の犬とに分類した。すべての犬にTRH刺激試験を行い、 TRH投与前と投与後30分、40分で血漿のGHおよびTSH濃度を測定した。

結果
:11頭の犬が甲状腺機能低下症に分類され、10頭が非甲状腺疾患に分類された。血漿GHの基礎濃度は、甲状腺機能低下症の犬(3.2 μg/l;範囲2.0-12.5μg/l)では、非甲状腺疾患の犬(0.73 μg/l;範囲0.45-2.3μg/l)よりも有意に高く(p<0.001)、重なりは最小限であり、また甲状腺機能低下症の犬ではTRH投与後にGHが上昇した(p=0.009)が、非甲状腺疾患の犬では変化しなかった。投与後45分で、甲状腺機能低下症と非甲状腺疾患の犬で血漿GH濃度の重なりはなかった。血漿TSH濃度は、甲状腺機能低下症の犬でTRH投与後にも有意な変化はなく、非甲状腺疾患の犬では上昇した(p<0.001)。投与後45分で、甲状腺機能低下症の犬の間で基礎値からの上昇の割合で重なりはなかった。

結論と臨床的重要性
:基礎血漿GHと、TRH刺激試験後のGHおよびTSH濃度の測定は、犬における甲状腺機能低下症と非甲状腺疾患を鑑別することができる。