Zoia, Andrea, et al.
"Hemostatic findings of pleural fluid in dogs and the association between pleural effusions and primary hyperfibrino (geno) lysis: A cohort study of 99 dogs."
 
PloS one13.2 (2018): e0192371.

PubMedリンク PMID:29462172
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タイトル:犬における胸水の止血所見と、胸水と原発性フィブリン(フィブリノゲン)溶解亢進との関連;99頭のコホート研究

==アブストラクト===
この研究の第一の目的は、犬の胸水において凝固および線維素溶解の亢進が起こっているかどうかを調べることである。様々な原因の胸水のある犬33頭について調査した。血漿中の濃度と比べて、胸水のフィブリノゲン濃度は有意に低く、一方胸水のフィブリンーフィブリノゲン分解産物(FDPs)とDダイマー濃度は有意に高かった(すべての比較でp<0.001)。これらの結果は、犬の胸水において凝固活性と
線維素溶解の根拠があることを示している。
この研究の2番目の目的は、原発性の高線維素溶解(すなわち血漿FDPs濃度上昇、Dダイマー濃度正常) が胸水のある犬で起こっているかどうか、およに併発する炎症性過程の存在が、止血カスケードを活性化させ、それが本質的に二次的な高線維素溶解と関連し、並存する原発性高線維素溶解をマスクしてしまっているかどうかを調べることでである。以前に選出した33頭の胸水のある犬(グループ1)を、2つの対照グループ、33頭の健康な犬(グループ2)と33頭の胸水のない病気の犬(グループ3)、と比較した。血清フィブリノゲン、FDPs、Dダイマー、C反応性蛋白(CRP)、フィブリノゲン/CRP比、および原発性高線維素溶解の頻度、について調べた。グループ2と比較して、グループ1のフィブリノゲン、FDPs、Dダイマー、CRPの濃度は有意に上昇していた(すべての比較でp<0.001)。グループ3と比較して、グループ1のFDPsとCRPの濃度は有意に上昇していた(それぞれp=0.001、p<0.001)。グループ2および3と比較して、グループ1のフィブリノゲン/CRP比は有意に減少していた(それぞれp<0.001)。原発性高線維素溶解の頻度は、グループ2と比較してグループ1では有意に高かったが、グループ3との比較ではそうではなかった。これらの結果は、健康な犬と比較して、胸水のある犬では原発性高線維素溶解が有意に高い頻度で起こっているという仮説を支持するものである。グループ3に比較してグループ1ではフィブリノゲン/CRP比が減少しているにもかかわらず、高いFDPsと類似したDダイマー濃度を考慮すれば、病気の対象犬と比較しても同様に高い頻度で原発性高線維素溶解が起こっていおり、この現象は併発する二次性の高線維素妖怪によって隠されていることを示唆している。