McClosky, Megan E., et al.
"Prevalence of naturally occurring non‐AB blood type incompatibilities in cats and influence of crossmatch on transfusion outcomes."
 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:30307648
本文:無料公開あり(全文

タイトル:猫の自然発生性の非AB血液型の不適合の発生率と輸血の結果に与えるクロスマッチの影響

==アブストラクト===
背景:猫赤血球抗原のMikの認識と、急性溶血性の輸血反応を起こす自然発生性の抗Mik抗体の存在は、猫の初回の赤血球輸血を行う前にクロスマッチを行うことを促してきたが、このガイドラインはいまだに標準的な慣例にはなっていない。

目的:チューブクロスマッチにより検出される自然発生性の非AB型同種抗体の有病率を調べ、クロスマッチを行なった猫と行わなかった猫とので輸血の結果を比較すること。

動物:クロスマッチ主試験を行ない、または行わずに赤血球輸血を行なった猫300頭。 

方法:回顧的研究。

結果
:クロスマッチ主試験により不適合とされた猫は、輸血未実施の猫で154頭中23頭(14.9%)であり、 過去に輸血を受けた猫では55頭中15頭(27%)であった(p=0.042)。血液型特異的な濃厚赤血球の投与が、クロスマッチを行なった猫167頭と、行わなかった猫82頭に、それぞれ投与された。初回輸血の治療期間中に投与された濃厚赤血球の投与量の中央値は5.3ml/kg(範囲 2.4-18ml/kg)であった。濃厚赤血球の投与量に合わせたPCVの変化の中央値は、+0.8%/ml/kgであり、交差適合性のある濃厚赤血球の投与はPCV増加割合の上昇とは関連しなかった。発熱性輸血反応は、クロスマッチを行って輸血を行なった猫(2.5%)に比べて、 クロスマッチを行わずに輸血を行なった猫(p=10.1%)でより頻繁に起こった(p=0.022)。濃厚赤血球輸血を受けた猫の76%が生存して退院した。退院時、輸血後30日、および60日の生存率の改善に、クロスマッチの有無は関連しなかった。

結論と臨床的重要性;自然発生性の非AB型不適合は十分に高く、赤血球輸血を行うすべての猫(初回輸血を含む)の前のクロスマッチの実施の推奨を正当化する。