Vandenberghe, Hélène, et al.
"Juvenile‐onset polyneuropathy in American Staffordshire Terriers." 
Journal of veterinary internal medicine (2018): e15316.

PubMedリンク PMID:30315663
本文:無料公開あり(全文

タイトル:アメリカン・スタッドフォードシャー・テリアにおける若年性多発性ニューロパチー
 
==アブストラクト===
背景
アメリカン・スタッドフォードシャー・テリアでこれまでに述べられている唯一の遺伝性の神経疾患はセロイドリポフスチン症に続発する成犬発症の小脳変性だけであった。われわれは、呼吸器徴候のあるまたはない運動虚弱と、若年発症で遺伝性の変性性の多発性ニューロパチーによって特徴付けられる新たな神経疾患を何頭かの犬でみていきた。

目的
:若齢のアメリカン・スタッドフォードシャー・テリアにおける新規の多発性ニューロパチーの特徴を述べること。

動物
:2005年5月から2017年7月の間に5つの動物病院に、若齢発症の多発性ニューロパチーに一致する臨床徴候で来院したアメリカン・スタッドフォードシャー・テリア14頭。

方法:症例シリーズ。神経の生検により変性性多発性ニューロパチーの診断が確定した犬を回顧的に組み入れた。臨床的、病理学的、電気生理学的、組織学的データ、および転帰について再調査し、家系分析を行なった。

結果:すべての犬は、全身の運動神経および感覚神経を巻き込む神経筋疾患の臨床徴候をしめしており、局所徴候として喉頭麻痺(10/14頭)と巨大食道症(1/14頭)が関連していた。病理組織学的所見は変性性多発性ニューロパチーに一致していた。11頭で追跡情報が手に入り、3頭は診断後短期間で安楽死されていた。これらの11頭では、疾患は緩徐に進行し、歩行能力とともに良い生活の質を維持した。家系分析では、常染色体劣性遺伝様式とほとんど一致していた。

結論と臨床的重要性
:喉頭麻痺と関連する若齢の多発性ニューロパチーは、アメリカン・スタッドフォードシャー・テリアで新たに述べられた病態であり、変性性ニューロパチーによって起こる。喉頭麻痺の外科治療が行われれば、罹患した犬は歩行障害はあるものの、寿命は正常な犬と同等かもしれない。


==補足===
アメリカン・スタッドフォードシャー・テリア(Wikipedia)
写真:Wikipediaから引用
800px-Amerykański_staford_222