Hrovat, Alenka, et al.
"Behavior in dogs with spontaneous hypothyroidism during treatment with levothyroxine."
 
Journal of veterinary internal medicine (2018).

PubMedリンク PMID:30499213
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:自然発生性の甲状腺機能低下症の犬におけるレボチロキシン治療中の行動

==アブストラクト===
背景
:甲状腺ホルモンの補充は、攻撃性に関連した問題を有する犬に対して、有効な治療オプションであると逸話的に述べられてきた。しかし、レボチロキシンで治療中の甲状腺機能低下症の犬における行動と神経内分泌状態について評価した前向き、対照化、盲検化試験は欠如している。 

目的
:自然発生性の甲状腺機能低下症に犬において、レボチロキシンの補充は行動と神経内分泌の状態に大きな影響を与えるだろう。

動物
:自然発生性甲状腺機能低下症と診断された家庭犬20頭。

方法
:この回顧的研究では、来院時と、レボチロキシン(開始用量 10μg/kg, po, q12hr)治療開始後6週間および6ヶ月で、標準化犬行動評価・調査質問票(standardized Canine Behavioral Assessment and Research Questionnaire:C-BARQ)を用いてスクリーニングし、犬の行動を評価した。各時点で、循環中のセロトニンとプロラクチンの濃度を、商業的に確認のとれているELISAキットと異種ラジオイムノアッセイを用いてそれぞれ評価した。

結果:甲状腺ホルモン補充開始後6週間後、甲状腺機能低下の犬の活動性において、C-BARGスコアは有意な増加を示した(p<0.01)。治療開始後6ヶ月では、行動的徴候の有意な変化はいずれも観察されなかった。ベースラインと比較して、6週間および6ヶ月の時点でのセロトニン(p>0.99、p=0.46)とプロラクチン(p=0.99、p=0.37)の循環濃度は有意な差はみられなかった。

結論と臨床的重要性
:この研究の結果は、甲状腺ホルモン補充後6ヶ月後に活動性の増加があることを示している。この研究の犬の集団では、甲状腺ホルモン補充後6ヶ月では行動的徴候と神経内分泌の状態で有意な変化はみられなかった。