Hall, J. L., et al.
"Urinary incontinence in male dogs under primary veterinary care in England: prevalence and risk factors." 
Journal of Small Animal Practice (2018).

PubMedリンク PMID:30387152
本文:無料公開なし

タイトル:イギリスの獣医一次診療における雄犬の尿失禁;有病率とリスク因子

==アブストラクト===
目的:雄犬の尿失禁の有病率を推定し、人口統計学的なリスク因子を特定すること。

方法:研究集団には、2009年9月1日から2013年7月7日の間のVetCompassデータベースにある全ての犬を含めた。患者の電子記録を検索し、尿失禁の患者を調べ、人口統計学的および臨床的な情報を抽出して分析した。

結果
:イギリスの119の診療所に通っている109,428頭の雄犬のうち、尿失禁を診断された犬は1027頭と推定され、有病率は0.94%(95%信頼区間 0.88-1.00)であった。
雄犬の尿失禁のオッズが最も高い犬種(雑種犬と比較して)は、
ブルマスチフ(オッズ比 17.21、95%CI 6.65-44.56、症例=5、非症例=314、p<0.001)、
アイリッシュレッドセッター
(オッズ比 12.79、95%CI  4.83-33.84、症例=5、非症例=142、p<0.001)、
フォックステリア
(オッズ比 9.60、95%CI 3.68-25.5、症例=5、非症例=176、p<0.001)、
ブルドッグ
(オッズ比 5.72、95%CI 2.24-14.59、症例=5、非症例=929、p<0.001)、
ボクサー
(オッズ比 3.65、95%CI 1.84-7.25、症例=5、非症例=1470、p<0.001)、
であった。 
尿失禁のオッズ比の上昇は、高い年齢(年齢9-12歳、オッズ比 10.46、95%CI 6.59-16.62、n=12,348、p<0.001)および保険に入っていること(オッズ比 1.96、95%CI 1.53-2.51、n=26,202、p<0.001)と相関していた。多変量解析によって、去勢手術または体重との関連はなかった。

臨床的意義
:雄犬における尿失禁の全体的な有病率はおよそ1%であり、これはこの問題にについての報告が希薄であることからの予測よりも高いものかもしれない。雌犬とは対照的に、中性化と体重は尿失禁のオッズの増加と関連はしておらず、それは中性化の助言をする際に重要なことである。