Liu, Nai‐Chieh, et al.
"Objective effectiveness of and indications for laser‐assisted turbinectomy in brachycephalic obstructive airway syndrome." 
Veterinary Surgery (2018).

PubMedリンク PMID:
30303538
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タイトル:短頭種閉塞性気道症候群のレーザー補助鼻甲介切除の客観的な有効性と適応

==アブストラクト===
目的:短頭種閉塞性気道症候群の治療におけるレーザー補助鼻甲介切除の有効性を評価し、潜在的な適応について調べること。

研究デザイン:前向き臨床研究。

サンプル集団:家庭飼育のパグ、フレンチブルドッグ、イングリッシュブルドッグ(n=57)。

方法
:従来の多段階手術を行う前と術後2-6ヶ月で、全身気圧式容積脈波記録法により短頭種閉塞性気道症候群指数を得た。 短頭種閉塞性気道症候群指数が>50%および短頭種閉塞性気道症候群の機能的グレードがⅡ-Ⅲの犬を、レーザー補助鼻甲介切除の候補と考えた。短頭種閉塞性気道症候群指数はレーザー補助鼻甲介切除の術後2-6ヶ月で再評価した。CT画像をもとに、鼻腔内の病変と後鼻孔の吻側入り口の軟部組織の割合の測定を記録した。ロジスティック回帰を用いて、レーザー補助鼻甲介切除の候補者であることに対しての鼻腔内予測因子を評価した。

結果
: 57頭中29頭がレーザー補助鼻甲介切除に候補となり、その全てがパグかフレンチブルドッグだった。手術をうけた犬(20/29)の短頭種閉塞性気道症候群指数の中央値は、従来式多段階手術の後の67%から、レーザー補助鼻甲介切除の42%まで減少した(p<0.001)。後鼻孔の吻側入り口の軟部組織の割合は、レーザー補助鼻甲介切除の候補となる唯一の予測因子であった。後鼻孔の吻側入り口の軟部組織の割合が高いパグ(p=0.021;カットオフ=64%)とフレンチブルドッグ(p=0.008;カットオフ=55%)は、レーザー補助鼻甲介切除の候補によりなりやすかった。レーザー補助鼻甲介切除の術後、20頭中12頭で一時的な逆くしゃみがみられ、20頭中8頭で匂いを嗅いだり興奮した時に鼻音だみられた。

結論
: レーザー補助鼻甲介切除は鼻腔内の異常があり、従来の多段階手術への反応がよくない犬に対して、効果的な治療である。後鼻孔の吻側入り口の軟部組織の割合は、パグとフレンチブルドッグにおいてレーザー補助鼻甲介切除の候補の予測因子となる。

臨床的意義
:CTベースの後鼻孔の吻側入り口の軟部組織の割合の測定は、短頭種閉塞性気道症候群のあるパグとフレンチブルドッグにおいて、従来の多段階手術に加えてレーザー補助鼻甲介切除が必要になるかどうかの予測として使用できる可能性がある。