Tjostheim, S. S., et al.
"Effects of toceranib phosphate on systolic blood pressure and proteinuria in dogs."
 
Journal of veterinary internal medicine 30.4 (2016): 951-957.

PubMedリンク PMID:27149912
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タイトル:犬の収縮期血圧と蛋白尿に対するリン酸トセラニブの影響

==アブストラクト===
背景:収縮期高血圧と蛋白尿は、人におけるチロシンキナーゼ阻害薬の有害作用として確立されている。

目的:この研究の目的は、がんのある犬においてリン酸トセラニブの治療に続発する蛋白尿の発生率と収縮期血圧の変化について調査することである。

動物:対象犬26頭とがんのある犬30頭について、研究の第一段階(ベースラインの特性)の評価を行なった。第二段階(リン酸トセラニブ治療の効果)として、48頭の家庭飼育犬が評価され、対象犬20頭とさまざまな腫瘍のある犬28頭が含まれた。

方法:前向きコホート研究。家庭飼育の健康な対象犬とがんのある犬を登録した。血圧と尿タンパク/クレアチニン比は、治療前とリン酸トセラニブ治療開始後2週間で測定した。

結果:収縮期血圧は、ベースライン(136mmHg±14)と比較して、もともと正常血圧でありリン酸トセラニブの治療を開始したあとの犬(152mmHg±19)で、有意に高かった(p=0.0013)。治療した犬の37%で、収縮期血圧が≧160mmHgとなった。治療した犬のベースラインでの全身性高血圧の有病率(37%)と蛋白尿の有病率(21%)は、年齢を合わせた健康な対象犬でのもの(15%[p=0.13]、0%[0.069])と比べて差はなかった。

結論と臨床的意義
:リン酸トセラニブの治療は、犬において収縮期血圧を上昇させる可能性がある。収縮期高血圧は、犬においてこの薬の潜在的な有害効果として考慮しておくべきである。収縮期高血圧と蛋白尿は、抗腫瘍治療を行う前の犬において臨床的に関連のある頻度で検出され、これらの項目についてモニタリングを行うことが正当化されることを示唆している。