Steinmetz, Sonja, Andrea Tipold, and Wolfgang Löscher.
"Epilepsy after head injury in dogs: a natural model of posttraumatic epilepsy."
 
Epilepsia 54.4 (2013): 580-588.

PubMedリンク PMID:23294259
本文:無料公開あり(全文) 

タイトル:犬の頭部外傷後のてんかん;外傷後てんかんの自然モデル 

==アブストラクト===
目的:ヒトでは、外傷性脳損傷は後天性(症候性)てんかんの最も一般的な原因のひとつであるが、いまだに外傷性脳損傷後のてんかんの発症を予防する治療はない。外傷後てんかんの動物モデルは、外傷性脳損傷によるてんかん発生機序を特徴付け、臨床的に有効な抗てんかん治療を特定するために重要である。自然発生性の犬のてんかんの有病率と現象学は、ヒトのてんかんのそれと類似している。しかし、犬における外傷性脳損傷によるてんかんのリスクは、これまで系統的に調べられてはいない。そのためわれわれは、この種での頭部外傷後の早期および後期の発作の有病率を調べる目的で、11.5年間にわたりわれわれの臨床科に紹介されら1000頭の犬について大規模な回顧的研究を実施した。

方法
:2つの戦略を用いた。グループ1(n=392)では、頭部外傷(グループ1a)またはその他の外傷(グループ1b)の 治療で紹介されて犬が外傷後の発作を発症したかどうかを評価し、一方、グループ2(n=608)では、再発性のてんかん発作の治療で紹介された犬が、外傷の病歴があるかどうかを評価した。この研究のデータは、臨床データベース、犬の飼い主へ送ったアンケート、および飼い主への質問によって得た。

主な結果:グループ1aでは、6.6%の犬が外傷後てんかんを発症し、それはグループ1b(1.9%)と有意な差があり、頭部外傷がてんかんの発症リスクを3.4倍増加させたことを示している。外傷後てんかんのリスクは、外傷性脳損傷の重症度に伴い増加し、頭蓋骨骨折のある犬の14.3%で外傷後てんかんが発症した。グループ2ではてんかんのある犬の15.5%で頭部外傷の病歴があり、これはグループ1aで決定された外傷後てんかんの発生率よりも有意に高かった。

意義
:この研究では、犬の頭部外傷はてんかんの発症のリスクと有意に関連していることを示しいている。そのため、重度な外傷性脳損傷のある犬は外傷後てんかんの興味深い自然モデルであり、ヒトの外傷後てんかんのに関する研究のための新たな翻訳プラットフォームを提供する。