Strage, Emma M., et al.
"Effect of insulin treatment on circulating insulin‐like growth factor I and IGF‐binding proteins in cats with diabetes mellitus." 
Journal of veterinary internal medicine 32.5 (2018): 1579-1590.

PubMedリンク PMID:30112786
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タイトル:糖尿病の猫においてインスリン治療が循環中のインスリン様成長因子1とIGF結合タンパクに与える影響

==アブストラクト===
背景:インスリン様成長因子1(IGF-1)は糖尿病の猫に対する先端巨大症のスクリーニングに用いられている。ヒトでは、ほとんどの循環IGF-1は、IGF-1結合タンパク(IGFBP-3)と酸に不安定なサブユニットともに三重複合体(TC)を形成している。IGF-1濃度は、インスリン治療中に増加することが報告されており、寛解を達成した猫ではより急速である。

目的: (ⅰ)IGFBPプロファイルを含めたIGF-1濃度に関連する因子を調べる。(ⅱ)インスリン治療がIGF-1濃度に与える影響をを調べる。(ⅲ)糖尿病寛解の予後マーカーとしてのIGF-1を調べる。

動物:31頭の家庭飼育の糖尿病猫(そのうち24頭は1年間追跡)、13頭の健康な猫 

方法:前向き研究。血清インスリン、IGF-1、およびフルクトサミン濃度を測定した。IGF結合形式は、14頭の糖尿病猫と13頭の健康猫でクロマトグラフィを用いて決定された。IGF-1、IGF-2、IGFBP-3、およびIGFBP-5について、寛解した3頭の猫で質量分析を用いて調べられた。

結果:インスリン治療を始める前のIGF-1の中央値(四分範囲)は300ng/ml(160-556)であった。IGF-1は、三重複合体(p<0.0001)および内因性インスリン(p=0.005)と正の関連があり、フルクトサミン(p<0.0001)と負の相関があった。IGF-1の中央値はベースラインと比較して、インスリン治療開始後2-4週間で高く(300 vs 670 ng/ml、p=0.0001)、将来の寛解を予測そた(p=0.046)。寛解した猫では、三重複合体とIGFBP-3の量が増加しており、IGF-1の増加が三重複合体の形成に依存していることが示唆された。
 
結論
:糖尿病猫におけるIGF-1を解釈する際にはインスリン治療を考慮すべきだ。インスリン治療開始後2-4週のIGF-1は、糖尿病猫の寛解の予後マーカーとして見込みを示している。