Buijtels, J. J. C. W. M., et al.
"Disorders of sexual development and associated changes in the pituitary-gonadal axis in dogs." 
Theriogenology 78.7 (2012): 1618-1626.

PubMedリンク PMID:22980090
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タイトル
:犬における性発達障害と関連する下垂体-性線軸の変化

==アブストラクト=== 
正常な性分化は、染色体による性決定の完了、生殖線の分化、および表現型の性の発達に依存している。 これらの3ステップのいずれにかに不規則があると、性発達障害につながる可能性がある。

腹部超音波検査、開腹手術、性線と生殖管の組織学的検査、細胞遺伝学的分析、およびSRY遺伝子のmRNA発現によって、9頭の性発達障害の犬を調べた。またゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の投与前の黄体形成ホルモン(LH)、エストラジオール-17β、およぼテストステロンの血漿濃度を測定し、その結果を発情休止期の雌犬および雄犬で得られた結果と比較した。

性発達障害の犬の性線には精巣と卵巣の両方が含まれていたが、他の6等は精巣組織だけがみられた。いずれの犬にも子宮がみられた。婦人科検査、細胞遺伝学的検査、および性腺の組織検査に基づき、9頭中7頭がXX性転換であることがわかった。このうち3頭はXX真性雌雄同体で、4頭はXX雄であり、他の2頭は不完全なXY性線発育不全を起こしていた。XX性転換の犬7頭全てで、SRY遺伝子がPCRで陰性であった。血漿LH濃度の基礎値は、発情休止期の雌犬よりも性線発達障害の犬で有意に高かったが、雌犬と性線発育障害の犬の間には有意な差はなかった。性線発達障害の犬すべてで、GnRH投与後に血漿LH濃度が有意に上昇した。血漿エストラジオール濃度は、発情休止期も雌犬よりも性発達障害の犬で有意に高かったが、雄犬と性線発達障害の犬との間に有意な差はなかった。血漿テストステロン濃度の基礎値は、雄犬に比べて性発達障害の犬で有意に低かった。性発達障害のすべての犬で、基礎値およびGnRH誘発値の両方で、発情休止期んも雌犬のそれぞれの範囲の上限を超えていた。

結論として、性腺に精巣組織をもつ性発達障害の犬におけるLHおよびエストラジオールの分泌は、雄の対照犬のものと類似していた。これらの結果から、基礎値および/またはGnRH刺激血漿テストステロン濃度は、性発達障害の犬における精巣組織の存在を検出するために用いることが出来る可能性がある。