Oldach, Maureen S., et al.
"Cardiac effects of a single dose of pimobendan in cats with hypertrophic cardiomyopathy; a randomized, placebo-controlled, crossover study."
 
Frontiers in veterinary science 6 (2019): 15.

PubMedリンク PMID:30778391
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タイトル:肥大型心筋症の猫におけるピモベンダン単回投与の心臓への影響;ランダム化プラセボ対照クロスオーバー試験

==アブストラクト=== 
背景:ピモベンダンは、それを心不全治療の一部として投与された肥大型心筋症の猫において有意な生存利益があることが示唆されている。しかし、肥大型心筋症の猫におけるピモベンダンの薬力学的データの不足と、左室流出路閉塞の悪化に関する理論的な懸念から、肥大型心筋症の猫におけるピモベンダンの使用は議論があるままだ。

仮説/目的:われわれの目的は肥大型心筋症の猫におけるピモベンダンの心臓への影響を調べることだ。われわれは、ピモベンダンは左室流出路閉塞を悪化させず、拡張機能の心エコー測定値を改善させるという仮説を立てた。

動物:ミオシン結合タンパクCの変異体による自然発生性肥大型心筋症の研究コロニーから、13頭の目的用繁殖猫について研究した。

方法:猫たちは24時間間隔で完全な標準化心エコー検査をうけた。評価初日に、検査1時間前に猫たちはランダムにプラセボもしくはピモベンダン1.25mgの経口投与に割り振れられた。2度目の検査では、猫たちはクロスオーバーされ、残りの治療を受けた。調査員はすべての治療でしらされていていなかった。

結果:ピモベンダングループでは左心房の短縮率が有意に増加した(ピモベンダン群 41.7%±5.9;プラセボ群 36.1%±6.0;p=0.04)。左室流出路流速について両郡で有意な差はなかった(ピモベンダン群 2.8m/s±0.8;プラセボ群2.6m/s±1.0)。両群
で左室流出路閉塞のある猫の数に差はなかった(ピモベンダン群12頭、プラセボ群11頭、p=1.00)。左室内径短縮率、僧帽弁輪平面収縮期逸脱、三尖弁輪平面収縮期逸脱のいずれの収縮測定値においても、検出し得る差はなかった。ドップラーに基づく拡張能の評価は持続性頻脈によって除外された。

結論
:ピモベンダン群における左心房の機能改善は、うっ血性心不全のある肥大型心筋症の猫においていくるか報告されている生存利益を説明することができる。ピモベンダンは左室流出路閉塞を悪化させず、そのため左室流出路閉塞のある肥大型心筋症の猫において禁忌とはならない可能性がある。ほかの生理学的効果、特に拡張能の評価についてのより良い特徴を調べるために、および長期間のピモベンダンの安全性を評価するためには、さらなる研究が必要である。