Jillings, E. K. P., et al.
"Does blood contamination of urine compromise interpretation of the urine protein to creatinine ratio in dogs?." 
New Zealand veterinary journal 67.2 (2019): 74-78.

PubMedリンク PMID:30517829
本文:無料公開なし

タイトル:尿の血液混入は、犬の尿蛋白クレアチニン比の解釈を損なうか?

==アブストラクト=== 
目的:ヘマトクリット値とタンパク濃度が異なる0-5%の血液の尿への混入が、犬の尿蛋白クレアチニン比(UPC)与える影響を調べ、尿の色がUPCの結果に役立つかどうかをを調べること。

方法:尿サンプルを18頭の犬から自然排尿(free catch)で採取し、それらはすべてUPC<0.2であった。それぞれの犬から静脈血サンプルも同様に採取し、各血液を自分の尿に添加して0.125-5%の連続した濃度の血液を作成した。 それぞれの尿サンプルを2人の観測者が、黄色、ピンク、オレンジ/赤に分類し、色を記録した。タンパクとクレアチニン濃度を決定し、ディップスティック検査と沈渣検査をそれぞれのサンプルで行なった。色とディップスティック検査をもとに、顕微鏡的、肉眼的、および明らかな血尿のいずれかにサンプルを分類した。線形l金剛モデルを用いて血液の混入がUPCに与える影響を調べた。

結果
:混入のない尿では18頭すべてでUPC<0.2であった。血液を尿サンプルに加えることで、非混入の尿と比較して、すべての混入濃度でUPCの上昇が起こった(p<0.001)。顕微鏡的な血尿のサンプルでUPC>0.5となったものはなかった。肉眼的血尿の108サンプル中、21サンプル(19.4%[95%信頼区間13.1-27.9])でUPC>0.5となり、顕著な血尿の54サンプル中、39サンプル(72%[95%信頼区間59.1-82.4])でUPC>0.5となった。血液混入が5%未満でUPCが>2.0となったサンプルはなく、血液混入5%では3/18(17%)だけがUPC>2.0となった。

結論と臨床的意義
:この研究により、0.125%以上の血液混入はUPCを増加させ、尿の色が黄色のまま(顕微鏡的血尿)の場合には、UPC>0.5は血液混入のみに起因する可能性は無視できることが示された。このシナリオから、タンパク尿の原因をサンプル中の血尿に起因させることは不適切であるだろう。しかし、尿サンプルの色を黄色から変色(肉眼的血尿または顕著な血尿を示す)に至る血液の混入は、異常な範囲までUPCを上昇させる可能性があり、タンパク尿の鑑別として考慮する必要があるだろう。したがって、尿の色の情報は、単純な色のスコア(黄色、変色、赤)に限定されたとしても、血尿のあるサンプルの解釈を追加するために利用できる。