King, Jonathan N., et al.
"Evaluation of benazepril in cats with heart disease in a prospective, randomized, blinded, placebo‐controlled clinical trial."
Journal of Veterinary Internal Medicine(2019).
PubMedリンク PMID:31560137
本文:無料公開あり(全文)
タイトル:心疾患のある猫におけるベナゼプリルの評価、前向きランダム化盲検プラセボ対照臨床試験
==アブストラクト===
背景:心疾患は猫の罹患率や死亡率の重要な原因であるが、薬物療法の利点に関する根拠は限られている。
仮説:アンジオテンシン変換酵素阻害剤のベナゼプリルは、様々な病因の心疾患をもつ猫において治療の失敗までの時間を遅らせるだろう。
動物:家庭医飼育猫151頭。
方法:心臓エコー検査で確定された心疾患(±うっ血性心不全の臨床徴候)のある猫が2002年から2005年の間の間に募集され、前向き多施設間平行群盲検臨床試験においてベナゼプリルとプラセボにランダムに割り付けられた。ベナゼプリル(0.5-1.0mg/kg)またはプラセボを、最大2年間、1日1回経口投与した。主要エンドポイントは治療の失敗とした。すべての原因による治療の失敗(主要な解析)と心疾患関連の治療の失敗(補助的な解析)とで、別々に解析を行なった。
結果:プラセボと比較した際のベナゼプリルの利益は、すべての原因による治療の失敗までの時間(p=0.42)または心疾患関連の治療の失敗までの時間(p=0.21)に対して検出されなかった。多変量解析によるプラセボと比較したベナゼプリルのハザード比(95%信頼区間[CI])は、すべての原因の失敗の対して1.00(0.57-1.74)であり、心疾患関連の失敗に対しての前進選択モデルで0.99(0.50-1.94)、双方向選択モデルで0.93(0.48-1.81)であった。左心房の直径、左心室壁の厚さ、生活の質スコア、または血漿化学・血液学的な項目で、試験薬の投与後経時的にグループ間に差はなかった。
結論と臨床的意義:ベナゼプリルは心疾患のある猫でよく許容されたが、有益性の根拠は見出せなかった。
==本文から===
==訳者補足===
論文の吟味
・ランダム化されているか?
→されている(ブロックランダム化)
・論文のPECO
P:治療が必要な心臓病の猫(構造的変化あり、±うっ血性心不全)、体重1.25-10kg
E:ベナゼプリル2.5mg 1日1回
C:プラセボ(ベナゼプリルと同形状)
O:治療の失敗
・一次アウトカムは明確か?
→すべての原因による治療の失敗、心臓病に関連した治療の失敗
心臓病に関連した失敗:死亡、安楽死、研究からの離脱(臨床状態の悪化、持続的で許容不可能な頻脈、繰り返しの胸腔穿刺、治療を必要とする心室性不整脈)
・真のアウトカムか?
→真のアウトカムといえそう
・盲検化されているか?
→されている
・ITT解析されているか?
→されている
・結果を覆すほどの脱落があるか?
→脱落率;ベナゼプリル群23/77(29%)、プラセボ群22/74(29%)
脱落はけっこう多い
"Evaluation of benazepril in cats with heart disease in a prospective, randomized, blinded, placebo‐controlled clinical trial."
Journal of Veterinary Internal Medicine(2019).
PubMedリンク PMID:31560137
本文:無料公開あり(全文)
タイトル:心疾患のある猫におけるベナゼプリルの評価、前向きランダム化盲検プラセボ対照臨床試験
==アブストラクト===
背景:心疾患は猫の罹患率や死亡率の重要な原因であるが、薬物療法の利点に関する根拠は限られている。
仮説:アンジオテンシン変換酵素阻害剤のベナゼプリルは、様々な病因の心疾患をもつ猫において治療の失敗までの時間を遅らせるだろう。
動物:家庭医飼育猫151頭。
方法:心臓エコー検査で確定された心疾患(±うっ血性心不全の臨床徴候)のある猫が2002年から2005年の間の間に募集され、前向き多施設間平行群盲検臨床試験においてベナゼプリルとプラセボにランダムに割り付けられた。ベナゼプリル(0.5-1.0mg/kg)またはプラセボを、最大2年間、1日1回経口投与した。主要エンドポイントは治療の失敗とした。すべての原因による治療の失敗(主要な解析)と心疾患関連の治療の失敗(補助的な解析)とで、別々に解析を行なった。
結果:プラセボと比較した際のベナゼプリルの利益は、すべての原因による治療の失敗までの時間(p=0.42)または心疾患関連の治療の失敗までの時間(p=0.21)に対して検出されなかった。多変量解析によるプラセボと比較したベナゼプリルのハザード比(95%信頼区間[CI])は、すべての原因の失敗の対して1.00(0.57-1.74)であり、心疾患関連の失敗に対しての前進選択モデルで0.99(0.50-1.94)、双方向選択モデルで0.93(0.48-1.81)であった。左心房の直径、左心室壁の厚さ、生活の質スコア、または血漿化学・血液学的な項目で、試験薬の投与後経時的にグループ間に差はなかった。
結論と臨床的意義:ベナゼプリルは心疾患のある猫でよく許容されたが、有益性の根拠は見出せなかった。
==本文から===
==訳者補足===
論文の吟味
・ランダム化されているか?
→されている(ブロックランダム化)
・論文のPECO
P:治療が必要な心臓病の猫(構造的変化あり、±うっ血性心不全)、体重1.25-10kg
E:ベナゼプリル2.5mg 1日1回
C:プラセボ(ベナゼプリルと同形状)
O:治療の失敗
・一次アウトカムは明確か?
→すべての原因による治療の失敗、心臓病に関連した治療の失敗
心臓病に関連した失敗:死亡、安楽死、研究からの離脱(臨床状態の悪化、持続的で許容不可能な頻脈、繰り返しの胸腔穿刺、治療を必要とする心室性不整脈)
・真のアウトカムか?
→真のアウトカムといえそう
・盲検化されているか?
→されている
・ITT解析されているか?
→されている
・結果を覆すほどの脱落があるか?
→脱落率;ベナゼプリル群23/77(29%)、プラセボ群22/74(29%)
脱落はけっこう多い
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