Block, Chloё L., and Mark A. Oyama.
"Echocardiographic and biomarker evidence of plasma volume expansion after short‐term steroids administered orally in cats." 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.1 (2020): 29-34.

PubMedリンク PMID:31816124
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タイトル
猫における短期のステロイド経口投与後の血漿量増加についての心エコー検査とバイオマーカーの所見

==アブストラクト=== 
背景:ステロイドの経口投与と筋肉内投与は、それまで心疾患の徴候のなかった猫におけるうっ血性心不全の発症と関連しているが、ステロイド誘発性心不全のリスクが高い猫を同定するための基準は確率されていない。

仮説:ステロイドを5-7日経口投与された猫は、N末端プロB型ナトリウムペプチド(NT-ProBNP)濃度と心臓サイズが増加している。

動物:家庭飼育の猫10頭。

方法:観察コホート研究。少なくとも5日間のステロイド経口投与の開始を意図した猫が連続して募集された。

結果
:猫に対するステロイドの経口投与は、NT-proBNPの絶対的な濃度(ベースライン;49pmol/L[範囲 24-1013]、ステロイド投与後; 85pmol/L[範囲 46-1367])、血圧(ベースライン;145mmHg[範囲 116-163]、ステロイド投与後;145mmHg[範囲115-230])、または血中グルコース濃度(ベースライン;125mg/dl[範囲 92-254]、ステロイド投与後;144mg/dl[範囲 114-307])における差とは関連しなかったが、左心房径の中央値(ベースライン;1.26cm[範囲0.96-2.03]、ステロイド投与後;1.38cm[範囲 1.03-2.20])と左心室内径の平均値(ベースライン;1.55cm[SD 0.28]、ステロイド投与後1.72cm[SD 0.28])の増加とは関連した。10頭中6頭(60%)の猫では、ステロイド投与後にNT-proBNPのパーセンタイル変化が60%を超え、ベースラインでNT-proBNPが<100pmol/Lであった猫8頭のうち3頭(38%)では、ステロイド投与後にNT-proBNPが100pmol/Lを超えた。

結論と臨床的意義:心臓サイズの増加と個々のNTproBNP濃度の変化率は、猫においてステロイドの経口投与による二次的なな血漿量の増加を示唆している。NT-proBNPによる個々の猫の連続的な評価は、容量増加のリスクを判断するために臨床的に役にたつつ場合がある。


企業関与
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