Lidbury, Jonathan A., et al.
"Putative precipitating factors for hepatic encephalopathy in dogs: 118 cases (1991–2014)."
 
Journal of the American Veterinary Medical Association 247.2 (2015): 176-183.

PubMedリンク PMID:26133217
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル:犬の肝性脳症の推定的な増悪因子;118症例(1991-2014)

==アブストラクト=== 
目的:血漿アンモニア濃度と肝性脳症の重症度の関連を明らかにし、ヒトで肝性脳症を悪化させる因子が肝性脳症の治療を過去に受けている犬における臨床徴候の存在と関連するかどうかを決定すること。

デザイン:回顧的症例シリーズ。

動物:肝性脳症のある犬118頭。

方法:獣医教育病院の医療記録のデータベースを検索し、1991年10月1日から2014年12月1日の間に肝性脳症と診断された犬の記録を集めた。肝性脳症の重症度は5点スケールをもとに段階付けられ、疾患の重症度と血漿アンモニア濃度との間の相関を決定した。肝性脳症と全身性炎症性反応症候群、消化管出血、食事の無分別さ、便秘、フロセミド治療、高窒素血漿、低カリウム血症、低ナトリウム血症、アルカローシス、および高アンモニア血症とそれぞれの関連について、フィッシャーの正確検定と多変量ロジスティック回帰によって評価した。

結果
:入院時の肝性脳症の重症度は、血症アンモニア濃度と有意な相関はなかった。入院前に肝性脳症の治療を受けた犬は、治療を受けなかった犬に比較して、入院時の疾患の臨床徴候を示すことが有意に少なかった(オッズ比 0.36、95%信頼区間0.17-0.78) 。肝性脳症の推定増悪因子はどれも、入院時に疾患の臨床徴候の存在と有意に関連しなかった。

結論と臨床的意義
:結果は、肝性脳症の治療が疾患の臨床徴候を軽減することを示した。犬の肝性脳症の増悪因子を同定するためにはさらなる研究が必要である。