Mariani, C. L., et al.
"Histiocytic sarcoma with central nervous system involvement in dogs: 19 cases (2006–2012)." 
Journal of veterinary internal medicine 29.2 (2015): 607-613.

PubMedリンク PMID:
25711602
 
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:犬の中枢神経系浸潤のある組織球性肉腫;19症例(2006-2012年)

==アブストラクト=== 
背景:中枢神経系(CNS)を侵す組織球性肉腫(HS)の報告はまばらで、主に1~3頭の動物を対象とした症例報告で構成されている。
 
目的:本研究の目的は、組織球性肉腫と中枢神経系に病変のある犬の一連の症例のシグナルメント、臨床徴候、臨床病理学的所見、画像診断所見、治療法、転帰を報告することであった。

動物:獣医紹介病院で診察を受けた組織球性肉腫を有する19頭の犬。

方法:回顧的症例シリーズ。医療記録をレビューし、中枢神経系の組織球性肉腫の病理組織学的診断を受けた症例を本研究の対象とした。中枢神経系の画像診断を評価し、診断を確認するために病理組織学的サンプルを検討した。
 
結果:レトリバーとペンブローク・ウェルシュ・コーギーは、この集団の犬の中で過剰に存在していた。腫瘍は14頭で脳、5頭で脊髄に発生していた。4頭では組織球性肉腫が播種性で多臓器病態の一部であったのに対し、15頭では中枢神経系に限局しているようだった。画像診断では様々な所見がみられたが、脳では脳実質外の腫瘤が優勢であった。全例に髄膜増強が認められたが、それはしばしば重篤で、原発性の腫瘤病変から遠ざかっていた。髄液検査では全例に髄液細胞増加症がみられた。生存期間の中央値は3日であった。
 
結論と臨床的重要性:犬種による素因は、他の臓器系における組織球性肉腫の報告とは異なるようである。いくつかの独特な画像診断および臨床病理学的特徴、特に1つまたはそれ以上の腫瘤病変と脳ヘルニア、重度の髄膜増強、髄液細胞増加症の組み合わせは、この腫瘍を中枢神経系に関与する他の腫瘍と鑑別するのに役立つかもしれないが、さらなる研究を必要とする。