Martin, S., et al.
"Same‐day surgery may reduce the risk of losing pain perception in dogs with thoracolumbar disc extrusion." 
Journal of Small Animal Practice (2020).

PubMedリンク PMID:32462659
本文:無料公開なし

タイトル:胸腰部椎間板突出の犬において同日の手術は痛覚消失のリスクを減少させるかもしれない

==アブストラクト=== 
目的:後肢の痛覚が喪失した胸腰部椎間板突出の犬を、来院当日もしくは翌日に手術した場合で比較すること。痛覚消失の悪化のあるそれらの犬の転帰を記述すること。

方法:胸腰部椎間板突出のあり、痛覚はあるが後肢での歩行ができない家庭飼育犬273頭について回顧的に単一施設での研究を行った。犬は2つのグループに分けられた;早期手術グループ(来院当日の検査か翌日までの間に減圧手術を行った)と遅延手術グループ(入院から翌日までの間に手術を行わなかった)。早期手術グループと遅延手術グループとの間で、翌朝までに後肢の痛覚が消失した犬の割合を比較した。

結果:早期手術グループの犬151頭中7頭が一晩で痛覚が消失し、遅延手術グループの犬122頭中15頭で痛覚が消失した(フィッシャーの直接確率検定 p=0.025)。治療必要例数(NNT)により、1頭の一晩での痛覚消失を防ぐために14頭での早期手術を必要とすることが示された(95%信頼区間 7-106頭)。早期手術グループで痛覚消失した犬7頭中5頭が術後3週間までに痛覚が回復し、遅延手術グループでは犬14頭中8頭が回復した。

臨床的意義
:この研究により、脊髄減圧手術の一晩の遅れは、胸腰部椎間板突出によって歩行不能な犬における臨床的に意味のある悪化のリスクを増加させることを示唆している。