Fenn, Joe, et al.
"Association between anesthesia duration and outcome in dogs with surgically treated acute severe spinal cord injury caused by thoracolumbar intervertebral disk herniation." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:32418346
本文:無料公開あり(全文

タイトル
:胸腰部椎間板ヘルニアによる重度の脊髄障害を外科的に治療した犬における麻酔時間と転帰との関連

==アブストラクト=== 
背景
:最近の回顧的調査により、 胸腰部椎間板ヘルニアによる重度の脊髄障害を外科的に治療した犬において手術時間と転帰が関連している可能性が同定された。

仮説:痛覚の消失を伴う胸腰部椎間板ヘルニアを外科的に治療した犬において、手術時間の増加は予後の悪化と関連する。

動物:痛覚消失を伴う麻痺があり外科的に治療された胸腰部椎間板ヘルニアの犬297頭。

方法:回顧的コホート研究。5施設の医療記録を再調査した。 組み入れ基準は痛覚消失を伴う対麻痺、胸腰部椎間板ヘルニアの外科的治療、および術後1年の転帰(歩行が可能/不可能)。犬の情報、転帰、手術時間、全体の麻酔時間について集めた。

結果
:この研究では、183/297頭(61.6%)が1年以内に歩行可能となり、114頭(38.4%)は回復せず、そのうちの74頭(24.9%)は進行性脊髄軟化症のために安楽死された。手術後 1年以内に歩行可能になった犬の麻酔時間の中央値(4.0時間、四分位範囲 3.2-5.1)は、歩行可能にならなかった犬の中央値( 4.5時間、四分位範囲 3.7-5.6)と比べて有意に短かった(p=0.01)。多変量ロジスティック回帰により、体重と手術を行った椎間腔の数を調整した際に、手術時間と全麻酔時間の両方が1年後の歩行と有意な負の関連をしていることが示された。

結論と臨床的意義
:この結果は、この研究集団の犬において麻酔時間の増加と転帰に負の関連があることを支持している。しかし、データが回顧的な性質であるため、因果関係を導くものではない。