Williams, H., et al.
"Multi‐Centre retrospective study of the long‐term outcome following suspected traumatic elbow luxation in 32 cats." 
Journal of Small Animal Practice (2020).

PubMedリンク PMID:32346883
本文:googlescholar経由で入手可能(全文

タイトル
:外傷性肘脱臼が疑われた猫32頭の長期転帰についての多施設回顧的研究

==アブストラクト=== 
目的
:一連の猫の外傷性肘脱臼における整復法と臨床的転帰について記述すること。

方法
:5つの専門紹介施設で治療を行なった片側性の肘脱臼に関する回顧的レビューを行なった。シグナルメント、病因、併発
損傷、脱臼の方向、整復までの時間、最初の整復方法、外科的処置、および合併症についてのデータを含めた。整復方法が不明の症例は除外した。猫筋骨格痛み指数を用いて、
電話での飼い主への質問によるフォローアップを行なった。

結果
:猫32頭が含まれた。側方脱臼が最も多かった(n=21)。最初の非観血的整復が試みられるまでの時間は、24時間未満(n=12)、24-48時間(n=13)、48時間以上(n=3)、または記録なし(n=4)であった。脱臼は、非観血的整復のみ(n=7)または手術(n=25)によって治療され、手術の25症例中14頭で一時的な外科的整復が行われ、11頭で非観血的整復の失敗に続く二次的な処置が行われた。経顆骨トンネルと環状縫合(n=19)が最も多く用いられた外科手技であった。壊滅的な合併症(n=1)、重大な合併症(n=11)、軽度な合併症(n=5)が記録された。再脱臼は固定による観血的な整復(n=0)よりも、非観血的な整復(n=8)でより頻繁にみられた。猫筋骨格痛み指数は12頭の猫で入手でき、12頭すべて転帰はは良好から優良であり、機能スコアの中央値は64.5/68(範囲 55-68)、痛みスコアの中央値は0/15(範囲 0-5)であった。転帰は整復方法とは関連しなかった。

臨床的意義
:肘の再脱臼は一次的な非観血的整復のあとに61%の猫で起こったが、観血的整復症例では起こらなかった。再脱臼の割合は、外傷からの期間に伴い増加した。整復方法に関わらず、ほとんどの猫が飼い主の評価で良好から優良な転帰であった。