Cole, Laura Pearl, et al. 
"Hypertension, retinopathy, and acute kidney injury in dogs: A prospective study." 
Journal of Veterinary Internal Medicine.

PubMedリンク PMID:32677736
本文:無料公開あり(全文

タイトル
犬の高血圧症、網膜症、急性腎障害;前向き研究

==アブストラクト=== 
背景:全身性高血圧症は、犬の急性腎障害の潜在的な合併症である。

目的:急性腎障害のある犬における全身性高血圧症と高血圧性網膜症の有病率を示し、全身性高血圧症と急性腎障害の重症度との関連を調べ、全身性高血圧症に関連する可能性のある因子を評価すること。

動物:急性腎障害の犬52頭。

方法:三次紹介病院に来院し、国際腎臓病研究グループ(IRIS)ガイドラインによる急性腎障害の診断を満たす犬の前向き観察研究。収縮期血圧の測定、尿蛋白/Cre比(UPCR)、尿量、高血圧性網膜症の存在、体液過剰の存在、生存退院、および入院期間が評価された。全身性高血圧症の有病率を計算し、全身性高血圧症と記録された因子の関係をノンパラメトリック解析で調べた。

結果:入院時または入院期間中のに全身性高血圧(≧160mmHg)の有病率は75%(39/52)であり、そのうち56%(22/39)では重度(≧180mmHg)であった。16%(7/43)の犬で高血圧性網膜症の所見があり、77%(24/31)の犬でUPCRが>0.5であった。42%(22/52)の犬で、入院時または入院中に体液過剰がみられた。全身性高血圧症とIRIS急性腎障害グレード、乏尿/無尿、生存退院、入院期間、または蛋白尿との間に関連はなかった。来院時に体液過剰がある犬では、体液過剰のない犬に比べて、入院時に高血圧になる可能性が高かった(p=0.02)。生存退院的なかった犬は、体液過剰がある可能性が高かった(p=0.007)。

結論と臨床的意義
:全身性高血圧症は急性腎不全の犬でよくみられた。全身性高血圧症は体液過剰と関連している可能性があり、体液過剰は非生存と関連している。したがって、急性腎障害のある犬では全身性高血圧症と体液過剰のモニタリングが求められる。