Milne, Elspeth, et al.
"Cytological and microbiological characteristics of middle ear effusions in brachycephalic dogs." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).

PubMedリンク PMID:32407559
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タイトル:短頭種犬における中耳滲出液の細胞学的および微生物学的特徴

==アブストラクト===
背景:中耳の滲出液は、ヒトの子供における中耳の滲出液と同様に、短頭種犬でもよくみられる。両種では頭蓋と耳管の形態と細菌感染の関連が疑われる。

仮説/目的:犬の中耳算出的の細胞学的および細菌学的な特徴を調べ、組織学的特徴を提供し、さらにヒトの疾患のモデルとしての犬を評価すること。

動物:生存している16頭の犬、中耳滲出液のある死亡症例3頭、対照の死亡症例2頭。

方法:CT、MRI、ビデオ耳鏡検査、鼓膜切開術を用いた前向き臨床調査;30の滲出液の細胞学的評価、28の滲出液の細菌学的評価、および10の中耳切片の免疫組織学的評価(Tリンパ球に対するCD3、Bリンパ球に対するPax5、マクロファージに対するMAC387)を行った。

結果
:生存犬の6/16頭(38%)で滲出液は神経学的障害に関連しており、9/16頭(56%)でアトピー性皮膚炎と外耳炎の併発がみられた。滲出液の培養が陽性か陰性かにかかわらず、細胞診では好中球とマクロファージが細胞診で多くみられた(中央値 60%[範囲2-95.5]、27%[2-96.5])。組織切片では、罹患した犬では粘膜が厚かったが、粘膜下腺の拡張は罹患した犬と罹患していない犬の両方でみられた。浸出的の22/28(79%)で細菌増殖はなかった。他の6(21%)からは細菌が検出され、Staphylococcus pseudintermedius(4/6 67%)が多かった。

結論と臨床的意義
:犬とヒトの中耳滲出液の臨床的、形態学的、および細胞学的所見は同様の病原性を示唆している。犬の中耳滲出液は、滲出液を伴うヒトの中耳炎の有効なモデルとなり得る。これらの比較は種をこえて理解と治療を改善しうる。