Gianella, Paola, et al.
"Upper digestive tract abnormalities in dogs with chronic idiopathic lymphoplasmacytic rhinitis." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2020).


PubMedリンク PMID:32618401
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タイトル:慢性特発性リンパ球形質細胞性鼻炎の犬における上部消化管の異常

==アブストラクト===
背景:慢性特発性リンパ球形質細胞性鼻炎は犬の鼻腔が罹患する、よくみられる病因不明の炎症性病態である。診断は鼻腔内疾患の他の原因を除外することであり、特異的な治療はない。ヒト医療では、慢性特発性リンパ球形質細胞性鼻炎と胃腸臨床徴候との関連が仮定されており、消化器障害に対する治療による臨床試験後の呼吸器徴候の消失が観察されている。

目的:病歴、臨床徴候、内視鏡的および組織学的な呼吸器と消化管の異常の併発を記述し、消化器徴候の治療後の呼吸器徴候の改善について評価すること。

動物:慢性特発性リンパ球形質細胞性鼻炎のある犬25頭。

方法:22頭で内視鏡による消化器病変があり、13頭で消化器徴候の併発がみられた。多くの食道と十二指腸の内視鏡的異常は、中程度から重度に分類された。呼吸器と消化管の病理学的評価により、多くの慢性炎症が同定された。消化器徴候に対する治療のみで治療された多くの犬で、内視鏡検査から12ヵ月までに呼吸器徴候の消失または顕著な改善がみられた。治療と追跡情報の間に有意な関連はみられなかった。

結論と臨床的意義
:慢性特発性リンパ球形質細胞性鼻炎のある犬では、鼻腔および上部消化器の異常が併存していることがある。標準化された治療プロトコルが欠如しており、鼻腔臨床徴候の改善の解釈には注意が示される。2つの病態の因果関係の可能性を探索するためにさらなる研究が必要である。