Kathrani, A., et al.
"The use of hydrolysed diets for vomiting and/or diarrhoea in cats in primary veterinary practice."
 
Journal of Small Animal Practice (2020).


PubMedリンク PMID:32895973
本文:無料公開あり(全文

タイトル:一次獣医診療における猫の嘔吐および/または下痢に対する加水分解食の使用

==アブストラクト===
目的:病因不明の慢性の嘔吐および/または下痢に対して併用薬ある/なしで加水分解食を処方された猫の反応を調べること。

方法:2016年にVetCompassデータベースから得られたイギリスの獣医診療所の512,213頭の猫の匿名の記録を、加水分解食に関連した単語で検査した。加水分解食を処方された記録のある5569頭の猫のうち、5000頭(90%)の記録を、胃腸の適応症、以前の投薬、併用薬、および加水分解食介入後の反応についてランダムにレビューした。反応不良は、食事開始後の来院時に嘔吐/下痢の治療として抗菌薬またはグルココルチコイドが処方された、または最低6ヵ月の追跡期間中に消化器徴候による死亡、と定義された。

結果:慢性嘔吐/下痢に対して加水分解食が処方された猫977頭中、697頭(71%)は抗菌薬またはグルココルチコイドの併用なしで最初に食事が処方され、一方、280頭(29%)は最初からこれらの薬剤と食事が併用された。前者のグループの猫の34%、および後者のグループの猫の61%が、反応不良であった。6歳以上の猫と、食事と併用してまたはそれ以前に嘔吐/下痢に対して抗菌薬および/またはグルココルチコイドが処方された猫へ、反応不良となるオッズ比が高かった。

臨床的意義
:観察結果の変動は、徴候の重症度や一次診療獣医の処方習慣を反映している可能性があるが、この研究は、診断検査で原因が明らかとなっていない慢性の嘔吐/下痢のある猫において、反応が良くない症例に抗菌薬および/またはグルココルチコイドの治療を試す前に、単独療法として加水分解食を試すメリットがあることを示唆している。


==本文から===
利益相反:なし