Lewis, Tom, Julia Freeman, and Luisa De Risio.
"Decline in prevalence of congenital sensorineural deafness in Dalmatian dogs in the United Kingdom." 
Journal of Veterinary Internal Medicine 34.4 (2020): 1524-1531.


PubMedリンク PMID:32543777
本文:無料公開あり(全文

タイトル:イギリスのダルメシアン犬における先天性感音難聴の有病率の低下

==アブストラクト===
背景:先天性感音難聴はダルメシアン犬で最もよくみられるタイプの難聴である。

目的:イギリスのダルメシアン犬の先天性感音難聴のスクリーニングの結果を遺伝子分析に使用し、この犬種における先天性感音難聴の有病率の経時的な変化を記述すること。

動物:1992年7月から2019年2月のあいだに、脳幹聴覚誘発反応(BAER)を用いて機能的なスクリーニングを行なった合計8955頭のダルメシアンの子犬。

方法:脳幹聴覚誘発反応検査の結果と色素沈着の表現系のデータを、イギリスケンネルクラブのダルメシアン血統データベースに関連づけた。混合モデル解析を用いて、分散パラメータを推定した。

結果:全体の先天性感音難聴の有病率は17.8%(片側性 13.4%、両側性 4.4%)であった。先天性感音難聴の遺伝率は約0.3(モデル全体)であり、有意に>0であった。先天性感音難聴と青い虹彩(+0.6)および頭部の色素班(-0.86)との間の遺伝的な相関は程度が大きく、0とは有意に異なっていた。表現系と遺伝的傾向の大きな改善が同定されたが、これは難聴に対する淘汰の結果であり、先天性感音難聴の遺伝的リスクが最も高い動物の4-5%の交配を避けることに相当する。

結論と臨床的意義
:先天性感音難聴の遺伝的リスクと有病率の減少は、ブリーダーが耳の聴こえる犬を選択してきたことを意味している。推定育種価(EBVs)に基づく選択的な繁殖は、将来的にダルメシアンにおける先天性感音難聴の有病率をさらに低下させるのに役立つ可能性がある。