Maxwell, Elizabeth A., et al.
"Outcomes of dogs undergoing immediate or delayed surgical treatment for gastrointestinal foreign body obstruction: A retrospective study by the Society of Veterinary Soft Tissue Surgery." 
Veterinary Surgery.


PubMedリンク PMID:32979240
本文:無料公開なし

タイトル:胃腸の異物閉塞のための即時手術と遅延手術を行なった犬の転帰;獣医軟部組織外科学会による回顧的研究

==アブストラクト===
目的:胃腸異物閉塞に対して即時的な外科介入で治療した犬 vs 遅延した外科介入で治療した犬の胃腸の損傷と転帰について調べること。

研究デザイン:回顧的コホート研究。

サンプル集団:5つの紹介病院における家庭医飼育犬855頭。

方法:2007年から2017年の間に胃腸異物閉塞と診断された犬の医療記録を再調査し、術前管理、手術のタイミング、術中所見、術後管理、転帰、および生存について調べた。外科介入にタイミングは、来院から6時間以内の即時と、来院から6時間以降の遅延とに分類した。

結果:即時手術を行なった犬(n=584)と遅延手術(n=210)を行なった犬では、転帰に差はなかった。腸管の壊死と穿孔は手術が遅れた際により多くみられた(p=0.008、p=0.019)が、術前の差を調整したあとでは有意にはならなかった。壊死と穿孔のリスク因子には、臨床徴候の期間、乳酸値の上昇、ひも状異物、手術のタイミング、があった。手術が遅れた際に、腸管切除(p=0.004)、手術時間(p=0.004)、麻酔時間(p=0.001)が増加した。即時手術は、給餌までの回復の早さ(p=0.004)と退院までの早さ(p<0.002)と関連した。それぞれのグループの犬の5%(即時 n=33、遅延 n=11)では、探索で異物がみつからないか、手術時には結腸に異物が絞り出されていた。

結論
:手術タイミングに関連した転帰の差はなかったが、遅延グループにおいては非調整の胃腸損傷の有病率が高く、そのため複雑な手術手技を必要とすることが多かった。