Cavalcanti, Jacqueline VJ, et al.
"Outcome in dogs undergoing adrenalectomy for small adrenal gland tumours without vascular invasion." 
Veterinary and Comparative Oncology (2020).


PubMedリンク PMID:32141158
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タイトル
:血管浸潤のない小さな副腎腫瘍の副腎摘出術を行なった犬の転帰

==アブストラクト===
犬の副腎摘出術の転帰について報告した獣医学研究はあるが、これらの研究は副腎腫瘍のサイズが幅広く、血管浸潤があるものもないものも含んでいるのが典型的である。この研究の目的は、副腎摘出を行い血管浸潤のない小さな副腎腫瘍が組織的に確認された犬の集団における転帰を報告することである。

この回顧的研究は2010年から2017年の間にフロリダ大学とカルフォルニア-デイビス大学のデータベースのデータを用いて行われた。CTによる評価で
いかなる部位でも血管浸潤の所見がなく最大径3cm以下の副腎腫瘍の切除を行なった犬を組み入れた。51頭の犬が組み入れ基準をみたした。副腎摘出術を行なった犬の短期生存率は92.2%であり、1年疾患特異的生存率は83.3%であった。51頭中28頭(54.9%)の犬が悪性腫瘍と診断された。軽度な合併症が術中と術後に多く観察された。重篤な合併症は6頭で観察され、急死、呼吸停止、急性腎障害、出血、低血圧、誤嚥性肺炎が含まれた。急死と出血は死亡を招く最も多い合併症であった。

副腎摘出術は高い周術期死亡率が過去に報告されているため、その実施は物議を醸すことがあるが、この研究の結果は血管浸潤のない小さな腫瘍に対する副腎摘出術は、低リスクで実施できることを示している。