Gredal, Hanne, et al.
"Diagnosis and long‐term outcome in dogs with acute onset intracranial signs." 
Journal of Small Animal Practice 61.2 (2020): 101-109.

PubMedリンク PMID:31691284
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タイトル:急性発症の頭蓋内徴候のある犬における診断と長期予後

==アブストラクト===
目的:一次獣医診療所において脳卒中を疑う急性発症の頭蓋内徴候のある犬を調べ、可能性のある鑑別疾患と長期予後を確立すること。さらに、可能性のある疾患バイオマーカとして血清CRPと血漿サイトカインを調べること。

方法:すべての症例は、神経学的検査、ルーチンの血液学的/生化学的検査、血清CRP、血漿サイトカイン濃度(インターロイキン-2、-6、-8、-10、TNF)の測定、および低磁場MRIによって評価された。

結果
:一次診療獣医師は、脳卒中を疑う85症例について調査員へ連絡した。20症例のみが組み入れ基準をみたした。これらのうち、2頭が虚血性脳卒中と診断された。ほかの原因には特発性前庭症候群(n=6)、脳腫瘍(n=5)、および炎症例疾患(n=2)があり、5頭では正確な診断がつけられなかった。中央生存期間は以下の通り;脳腫瘍 3日、特発性前庭症候群 315日、虚血性脳卒中 365日、炎症性中枢神経系疾患 468日。インターロイキン-2、-6、-8、-10、またはTNFの血漿濃度の中央値は、健康対照と比べて、いずれの疾患グループにおいても有意な上昇はなかった。血清CRPは、脳腫瘍と炎症性脳疾患で高かったが、いずれも参照範囲の上限を超えるものではなかった。

臨床的意義
:急性発症の頭蓋内疾患を示す犬では、虚血性脳卒中である可能性もあるが、他の原因である可能性のほうが高い。こうした急性発症の神経学的障害のある犬の多くは(脳腫瘍をのぞいて)、最初は重度の臨床的徴候にもかかわらず、数週間以内に回復する可能性がある。