Williams, Trevor PE, et al.
"Aortic thrombosis in dogs." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 27.1 (2017): 9-22.


PubMedリンク PMID:27779821
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タイトル
犬の大動脈血栓症

==アブストラクト==
目的:犬の大動脈血栓症の病因、病態生理、および治療についての情報をレビューすること。

病因:凝固亢進状態をもたらす疾患は、大動脈遠位に血栓形成を起こす可能性があり、犬の大動脈血栓症の原因の大部分を占めるが、かなりの数の症例には特定可能な根底的な原因がない。大動脈血栓塞栓症も発生するが、報告される頻度はかなり少ないようだ。

診断:犬の大動脈血栓症および大動脈血栓塞栓症の徴候は、猫に比べてより多様である。非特異的な臨床徴候のために診断は困難になり得る。確定診断には、血栓の可視化が含まれ、それはしばしば超音波検査によって得られるが、CTなどにの他の画像診断装置が用いられることもある。

治療:犬の大動脈血栓症または大動脈血栓塞栓症の最適な治療は、まだ文書化されていない。常に可能なわけではないが、血栓を促進する併発疾患の治療は、血栓の解消のために重要な側面をもつ。最近の回顧的研究では、長期のワルファリン療法による良い結果を報告しているが、ほかの研究では同様な結果を報告していない。未分画または低分子ヘパリンは、追加の抗凝固薬であり、利用されてきた。血小板阻害治療は、抗凝固治療と組み合わせて考慮すべきである。

予後
:大動脈血栓症または大動脈血栓塞栓症の犬の生存率は、50%から60%の間と報告されている。慢性の臨床徴候のある犬では、急性発症した犬または重度に罹患した犬よりも、予後がよかった。