Berk, Benjamin A., et al.
"A multicenter randomized controlled trial of medium‐chain triglyceride dietary supplementation on epilepsy in dogs."
 
Journal of veterinary internal medicine 34.3 (2020): 1248-1259.


PubMedリンク PMID:32293065
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タイトル:犬のてんかんにおける中鎖脂肪酸栄養補助食品の多施設ランダム化比較試験

==アブストラクト===
背景:中鎖脂肪酸(中鎖トリグリセリド:MCT)が豊富な食事は、特発性てんかんのある犬で発作のコントロールと行動に良い影響を与えることがある。

目的:発作のコントロールと抗てんかん薬の副作用特性を評価するために、様々なベースの食事に追加する栄養補助食品として投与したMCTの短期的な有用性を評価すること。

動物:国際獣医てんかん特別委員会(IVETF)Ⅱレベルで特発性てんかんの診断をうけ治療されており、過去3ヶ月以内に3回以上の発作を起こしている犬28頭。

方法:6ヶ月間の多施設前向きランダム化二重盲検プラセボ比較クロスオーバー試験を行い、MCT栄養補助食品と対照栄養補助食品を比較した。9%の代謝エネルギーベースのMCTまたは対照オイルの量を、犬の食事に3ヶ月間添加し、続いて異なる3ヶ月間に対照オイルとMCTをそれぞれ投与した。この研究に登録された犬はIVETF Ⅱレベルによって述べられている特発性てんかんの診断の要求をほとんど満たした。オイル栄養補助食品、または調査対象の栄養補助食品もしくは慢性の抗てんかん薬の代謝に影響を与える可能性のある薬剤の投与を受けている場合、慢性の抗てんかん薬投与が調整された場合、てんかんの他の原因がみつかった場合には、研究から除外された。

結果
:MCT栄養補助食品を与えた犬は、対照の栄養補助食品を与えた犬に比べて、発作の頻度(中央値2.51回/月[0-6.67]vs 2.67回/月[0-10.45];p=0.02)と発作のある日の頻度(中央値1.68日/月[0-5.60]vs 1.99日/月[0-7.42];p=0.02)が有意に低かった。2頭で発作がなく、発作の頻度が3頭で50%以上、12頭で50%未満減少し、11頭では発作の頻度が変化なしまたは増加した。

結論と臨床的意義
:これらのデータは、対照オイルと比較したときのMCT栄養補助食品の抗てんかん特性を示しており、薬剤耐性を示すてんかんの犬の集団における栄養学的な治療オプションとしてのMCTの有用性に関する以前の根拠を指示している。