Summers, April M., et al.
"Clinical features and outcome of septic shock in dogs: 37 Cases (2008‐2015)."
 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2020).


PubMedリンク PMID:
33382202
本文:無料公開なし

タイトル:犬の敗血症性ショックの臨床的特徴と転帰:37症例(2008-2015)

==アブストラクト===
目的:敗血症性ショックの犬の患者の特徴を記述し、疾患重症度のマーカーを調べ、転帰に影響を与える治療についてを評価すること。

デザイン:回顧的研究。

施設:単一施設、大学の獣医教育ICU。

動物:敗血症性ショックの犬37頭。

介入:なし。

方法と主な結果:臓器機能障害の平均数は3.24±1.0であり、心血管系(100%)、呼吸器(73%)、血液学(68%)、腎臓(49%)、肝臓(32%)の機能障害が含まれた。消化管は敗血症の原因として最も多かった。蘇生前の血圧の平均は50±8mmHgであった。昇圧剤療法の前に、すべての犬が静脈輸液をうけ、その投与量の平均は12.1±11.0ml/kg/hであった。すべての犬に抗菌薬が投与され、診断から投与までの時間の平均は4.3±5.7時間であった。ドパミンまたはノルエピネフリンの静脈投与がそれぞれ51.3%、37.8%で行われ、低血圧の平均時間は2.6±3.0時間であった。死亡率は81.1%であった。生存した犬は栄養チューブを設置していることが多く(p=0.007)、消化管の敗血症であることが多く(p=0.012)、呼吸器の機能障害を起こしていることが少なかった(P<0.001)。APPLE-FULLスコア(P=0.014)と抗菌薬療法までの時間(P=0.047)は、死亡の予測因子として特定された。敗血症性ショックのヒトの転帰を改善する可能性のある7つの介入から成る治療バンドルを評価した。生存犬は4.1±1.3の介入を受けており、一方で非生存犬は2.4±1.4の介入を受けていた(P=0.003)。

結論
:犬の敗血症性ショックはきびしい予後をもたらす。早期の抗菌薬療法と治療バンドルの活用により、敗血症性ショックの犬の生存率が上昇する可能性がある。敗血症への介入が生存に与える影響を調べるためにはさらなる研究が必要である。