Williams, Ashlyn G., Ann E. Hohenhaus, and Kenneth E. Lamb.
"Incidence and treatment of feline renal lymphoma: 27 cases." 
Journal of Feline Medicine and Surgery (2021): 1098612X20984363.


PubMedリンク PMID:33464143
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タイトル
猫の腎臓リンパ腫の発生率と治療;27症例

==アブストラクト===
目的:リンパ腫は最も多い猫の造血器系悪性腫瘍である。猫のリンパ腫症例の大集団の一部としての腎臓リンパ腫の発生率は報告されていない。過去の研究で腎臓リンパ腫は、単一のものと、多中心性の一部の両方で報告されている。腎臓リンパ腫に関する臨床徴候、診断評価、治療、および転帰は、1987年のMooneyらの報告以来、報告されていない。この回顧的研究の目的は、腎臓リンパ腫の発生率、臨床徴候、治療、および生存について記述することである。

方法:2008年1月から2017年10月までの間にリンパ腫と診断された猫のデータベースを用いて、腎臓リンパ腫の猫を選択してさらに解析をした。症例は、Mooneyら(1987)とGaborら(1998)にしたがって回顧的にステージングした。年齢、臨床徴候、臨床病理学的データ、画像診断所見、リンパ腫の診断方法、治療プロトコル、および生存期間に関する情報を収集した。投与された治療、腎臓リンパ腫vs多中心型リンパ腫、中枢神経系への浸潤、高窒素血症の存在、貧血、診断時にIRISステージを比較分析した。

結果:リンパ腫の猫740頭の集団のうち、27頭の猫が腎臓リンパ腫であり(発生率 3.6%)、そのうち14頭は多中心型リンパ腫であった。Mooneyらの報告と比較して、このデータではステージⅣおよびⅤの症例はほとんどいなかったが、すべての猫が完全なステージングを行っているわけではなかった。中央生存期間(範囲)は、コルチコステロイド単独治療をうけた猫で50日(20-1027日)であり、L-CHOP(Lアスパラギナーゼ、ビンクリスチン、サイクロフォスファマイド、ドキソルビシン、プレドニゾロン)の治療をうけた猫では203日(44-2364日)であった。

結論と臨床的意義
:臨床ステージも他の因子も、生存期間を予測しなかった。適切な化学療法プロトコルを決定するためには、前向き研究が必要である。