Dupont, Nana, et al.
"A retrospective study of 237 dogs hospitalized with suspected acute hemorrhagic diarrhea syndrome: Disease severity, treatment, and outcome." 
Journal of Veterinary Internal Medicine (2021).


PubMedリンク PMID:33638574
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タイトル:急性出血性下痢症候群の疑いで入院した犬237頭の回顧的研究;疾患の重症度、治療、および転帰

==アブストラクト===
背景:急性出血性下痢症候群(AHDS)の犬の治療や転帰について調べた研究はほとんどなく、敗血症の兆候を伴う犬に関するデータは不足している。

目的:急性出血性下痢症候群の疑いの犬の転帰を、疾患重症度、抗菌薬治療などに基づいて報告し、臨床基準に対する輸液蘇生の効果を評価すること。

動物:急性出血性下痢症候群で入院した犬237頭。

方法:医療記録をもとにした回顧的研究。疾患の重症度を、AHDS指数、全身性炎症反応症候群(SIRS)基準、および血清CRPを使用して、3つのグループ(抗菌薬なし、1剤、2剤)に従って評価した。

結果
:62%は抗菌薬を投与されず、31%が1剤の抗菌薬(主にアミノペニシリン)を投与され、7%は2剤の抗菌薬を投与された。入院時のAHDS指数の中央値は13(四分位範囲 11-15)であり、すべてのグループで入院初日以降に有意に減少した。2以上のSIRS基準をもつ犬は、、抗菌薬投与なしのグループ(7%)と比べて、抗菌薬投与グループ(15%、36%)の方が多かった。CRPは入院時のAHDS指数と正の相関を示した。治療群全体で、水和治療は臨床的なSIRS基準の数を顕著に現象させた。生存退院は96%で、2剤以上の抗菌薬投与を受けた犬で低かった(77%;p<0.05)。

結論
:結論と臨床的意義:急性出血性下痢症候群の疑いで入院した犬の多くは、来院時に全身性疾患の徴候があるにも関わらず、対症治療のみで急速に回復する。しばしば用いられるSIRS基準は、特に循環血液量減少がある場合には、抗菌薬治療を必要とする急性出血性下痢症候群の犬を特定するための代理としては不十分であるかもしれない。臨床意思決定および予後予測におけるCRPの役割については、更なる調査を必要とする。