Summers, April M., et al.
"Retrospective evaluation of the use of hydrocortisone for treatment of suspected critical illness–related corticosteroid insufficiency (CIRCI) in dogs with septic shock (2010–2017): 47 cases." 
Journal of Veterinary Emergency and Critical Care (2021).


PubMedリンク PMID:33599090
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タイトル:敗血症性ショックのある犬における重症疾患関連コルチコステロイド不全の治療としてのヒドロコルチゾンの使用に関する回顧的評価

==アブストラクト===
目的:重症疾患関連コルチコステロイド不全(CIRCI)の疑いのためにヒドロコルチゾンで治療された敗血症性ショックの患者の特徴を、CRICIの疑いがない敗血症性ショックの患者と比較して評価すること。

デザイン:2010年2月から2017年10月の間の回顧的研究。

施設:大学の教育病院ICU。

動物:敗血症性ショックの犬47頭のデータを収集した。21頭はCIRCIのためにヒドロコルチゾンで治療された(ヒドロコルチゾン治療群)。26頭はヒドロコルチゾンの投与を受けていないかった(非ヒドロコルチゾン治療群)。

方法と主な結果:ヒドロコルチゾン治療群は非ヒドロコルチゾン治療群に比べて、ベースラインでのAPPLE fullスコアが高く、予測死亡率が高かった(0.87 vs 0.44;p=0.039)。ヒドロコルチゾン治療群の犬は、非ヒドロコルチゾン治療群の犬よりも多くの昇圧剤と強心薬が用いられた(2.5 vs 1.5;p<0.001)。すべての患者が昇圧剤投与に最初は反応し、低血圧が解消するまでの平均時間は、ヒドロコルチゾン治療群の犬で90分、非ヒドロコルチゾン治療群の犬で60分であった(p=0.640)。しかし、ヒドロコルチゾン治療群の犬は、ヒドロコルチゾン治療群の犬は、非ヒドロコルチゾン治療群の犬よりも、昇圧剤開始後から持続的な低血圧の解消(収縮期血圧>90mmHgまたは平均血圧>65mmHgが最低4時間)にいたるまでの時間が、有意に長かった。(8.5 vs 4.5 時間;p=0.001)。ヒドロコルチゾン治療群の犬の3頭(14.3%)と非ヒドロコルチゾン治療群の犬の9頭(34.6%)が生存退院し、この差は統計的に有意ではなかった。

結論
:ヒドロコルチゾン治療群の犬は非ヒドロコルチゾン治療群の犬よりも、ベースラインでの死亡リスクが高かった。敗血症性ショックをヒドロコルチゾンありおよびヒドロコルチゾンなしで治療した場合の生存に有意さはなかった、CIRCIを疑う犬におけるヒドロコルチゾンの使用については更なる研究による評価が必要である。