Fournier, Quentin, et al.
"Chemotherapy‐induced diarrhoea in dogs and its management with smectite: Results of a monocentric open‐label randomized clinical trial." 
Veterinary and Comparative Oncology 19.1 (2021): 25-33.


PubMedリンク PMID:
32562450
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タイトル
:犬における化学療法誘発性下痢とスメクタイトによるその治療;単一施設非盲検ランダム化臨床試験の結果

==アブストラクト===
化学療法誘発性下痢は犬で頻繁にみられる化学療法有害事象である。しかし、その管理についてのコンセンサスは今のところまだない。スメクタイト天然の医療用粘土であり、ヒトでは急性下痢の治療で幅広く用いられている。この研究の目的は、犬の化学療法誘発性下痢の治療におけるスメクタイトの有用性を評価し、化学療法誘発性下痢に関する疫学データを収集することである。

下痢の各エピソードに対して、犬は以下の2つの治療グループにランダムに分けられた;スメクタイト群では、化学療法誘発性下痢の始まり時からスメクタイト0.5g/kg/日を2回に分けて経口投与し、対照群では最初の治療薬はなしとした。両群で、化学療法誘発性下痢が進行または48時間以内に改善しない場合に、レスキューのメトロニダゾールの処方を行った。2017年7月から2019年3月までに、60頭の犬が登録され、426回の化学療法の投与が行われた。

化学療法誘発性下痢の発生率は110/426回(25.8%;95%信頼区間21.7-30.2%)であり、投与された化学療法剤によって有意な差があった(P<0.001)。メトロニダゾールの投与は、スメクタイト群の5/54イベント(9.3%;3.1-20.3%)で行われ、対照群の40/56イベント(71.4%:57.5-82.3%)で行われた(p<0.001)。下痢が治るまでの時間は、対照群(中央値 53時間;四分位範囲 31.5-113.5)よりもスメクタイト群(19.5時間;13.5-32)で短かった(p<0.001)。

この研究の結果は、犬の化学療法誘発性下痢の第一選択治療としてのスメクタイトの投与を支持するものである。