Evans, Brolin J., et al.
"Factors influencing complications following mastectomy procedures in dogs with mammary gland tumors: 140 cases (2009–2015)." 
Journal of the American Veterinary Medical Association 258.3 (2021): 295-302.

PubMedリンク PMID:33496617
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タイトル:乳腺腫瘍がある犬における乳腺切除後の合併症に影響する因子;140症例(2009-2015)

==アブストラクト===
目的
:さまざまなタイプの乳腺切除の術式における合併症の割合を調べ、合併症のリスクを上昇させる因子を特定し、そうした合併症の結果を判断すること。

動物
:乳腺腫瘍を治療するために154回の乳腺切除術をうけた雌犬140頭。

方法
:2009年7月から2015年3月の間のPenn Vetシェルター犬乳腺腫瘍プログラムにおける犬の医療記録をレビューした。シグナルメント、腫瘍の特徴(腫瘍の数やサイズ、良性または悪性、両側か片側)、乳性切除のタイプ、麻酔時間、卵巣子宮摘出術または卵巣摘出術の同時実施、外科医の資格、手術後の抗菌薬の投与、術後ドレーンの設置、および合併症(漿液種、膿瘍、離開、感染)に関するデータを収集した。入院を必要とする合併症を記録した。フィッシャーの直接確率検定を使用して、関心のある変数と合併症の関連を評価した。多変量解析をもちいて、合併症のリスクの増加と独立して関連する因子を特定した。

結果
:すべての手技の乳腺切除術後の合併症の割合は16.9%(26/154)であり、そのうち9件(34.6%)が入院を必要とした。体重が重いこと、両側の乳腺切除の実施、および術後の抗菌薬投与は、合併症のオッズの有意な増加と関連した。術後抗菌薬投与は合併症のオッズと関連したが、乳腺切除の術式によってさまざまであった。連続した乳腺の切除を行い、術後に抗菌薬の投与を受けなかった犬では、合併症のオッズが最も高かった。同時に卵巣子宮切除または卵巣切除を行った犬では、合併症のオッズが有意に減少した。

結論と臨床的意義
:過去に避妊手術済みの大型犬でもっとも広範囲の乳腺切除術の手技を行うと、術後の合併症を起こす可能性が高くなった。


==本文から補足===
154件の手術のうち、66件で術後抗菌薬投与が行われ、88件では行われなかった。合併症として術後感染/膿瘍を起こした14件中、13件で術後抗菌薬の投与が行われていた。