Tsvetanova, Agata, et al.
"Melting corneal ulcers (keratomalacia) in dogs: A 5‐year clinical and microbiological study (2014–2018)." 
Veterinary Ophthalmology (2021).


PubMedリンク PMID:33794048
本文:無料公開なし

タイトル:犬の融解性角膜潰瘍(角膜軟化症);5年間の臨床および微生物学的研究(2014-2018)

==アブストラクト===
目的:犬の角膜軟化症に関連する細菌性病原体を同定し、それらの抗菌薬感受性をレビューし、微生物培養の結果と比較した臨床的な転帰を評価すること。

方法:2014-2018の間にイギリスのHertfordshireの紹介病院に来院し、融解性角膜潰瘍と診断された犬の臨床記録を回顧的に解析した。

結果:106頭の犬から110の融解性角膜潰瘍のサンプルが得られた。最も一般的な分離菌はPseudomonas aeruginosa(緑膿菌)(n=26)であり、ついでβ溶血性連鎖球菌(n=12)であった。コアグラーゼ陽性ブドウ球菌、大腸菌群、Pasteurella multocida、腸球菌、Streptococcus viridansが培養された融解性角膜潰瘍は少数であり、一緒に分析された(n=16)。複数の培養が9症例でみられた。47の培養では細菌の増殖が得られなかった。フルオロキノロンへの感受性は、β溶血性連鎖球菌以外では高いままであった。培養細菌による来院時の潰瘍の重症度に有意な差はなかった。全体で、63眼(57%)が、内科治療に加えて外科的な移植をうけた。14症例(13%)では、内科治療±外科治療を行ったにもかかわらず角膜の融解が進行し、眼球摘出を行う結果となった。摘出された眼球の57%(8/14)からは単一の緑膿菌が分離された。対照的に、β溶血性連鎖球菌に関連した潰瘍はすべて治癒した。

結論
:犬の角膜軟化症に関連す最も一般的な細菌腫は、緑膿菌とβ溶血性連鎖球菌であった。これらの2種間では抗菌薬感受性にばらつきがあるため、角膜軟化症を呈するすべての犬で細菌培養と感受性試験を実施する必要がある。緑膿菌単一の感染に関連する融解性角膜潰瘍は、他の細菌に関連する融解性角膜潰瘍よりも、眼球を喪失する可能性が有意に高かった。