Latifi, Max, et al.
"Outcome and postoperative complications in 73 dogs with thyroid carcinoma with gross vascular invasion managed with thyroidectomy." 
Veterinary and Comparative Oncology (2021).


PubMedリンク PMID:33993605
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タイトル
:甲状腺切除術で治療した肉眼的な血管浸潤を伴う甲状腺癌の犬73頭における転帰と術後合併症

==アブストラクト===
犬の甲状腺癌に対する甲状腺切除術は非常に良好な転帰が報告されているが、肉眼的な血管浸潤のある甲状腺癌の転帰はほとんど述べられていない。この研究では、肉眼的な血管浸潤がある甲状腺癌の甲状腺切除術を行った犬における臨床的な転帰と合併症について記述することである。

2010年1月から2019年12月までの間に、10の動物病院で甲状腺切除を行った犬の医療記録をレビューした。シグナルメント、診断データ、行われた主要な治療と補助治療、および転帰についてをまとめた。生存についてはカプランマイヤー分析により算出した。多項ロジスティック回帰を使用して、疾患特異生存率に関連する項目を特定した。犬73頭が組み入れられ、そのうち58頭で片側甲状腺切除、15頭で両側甲状腺切除が行われた。術中の合併症が5頭(6.8%、重篤なもの3頭・軽度なもの2頭)でみられ、術後合併症が12頭(16.4%、死亡に至る重篤なもの2頭・軽度なもの10頭)でみられた。局所再発は7頭(9.6%)で起こり、手術から再発までの期間の中央値は238日(範囲 15-730日)であった。遠隔転移の疑い/確定は9頭(12.3%)でみられ、手術から転移までの期間の中央値は375日(範囲 50-890日)であった。27頭(37%)が補助治療(化学療法21頭、放射線治療6頭)をうけた。39頭が死亡または安楽死され、そのうち10頭が疾患関連、10頭が原因不明、19頭が無関係の原因であり、9頭は追跡不能であった。全体生存期間の中央値は621日で、
疾患特異生存は中央値に達しなかった。1年疾患特異生存率は82.5%であった。疾患特異生存に関連する項目は、この研究内では特定されなかった。

肉眼的な血管浸潤のある甲状腺癌の犬の局所治療として手術は考慮される可能性がある。