Fudge, James Mack, et al.
"Blood loss and coagulation profile in pregnant and non-pregnant queens undergoing elective ovariohysterectomy." 
Journal of Feline Medicine and Surgery (2020): 1098612X20959610.


PubMedリンク PMID:33030098
本文:無料公開あり(全文

タイトル:予定手術としての卵巣子宮摘出術をうけた妊娠中および非妊娠中のメス猫における失血と凝固の特徴

==アブストラクト===
目的:この研究の目的は、待機手術としての卵巣子宮摘出術をうけた妊娠している猫において術中出血のリスクの増加があるかどうかを調べ、全血をもちいた粘弾性活性によって発情と妊娠のさまざまな段階における雌猫の血液凝固状態を比較することである。

方法:術中の失血を、待機的な卵巣子宮摘出術を行った非妊娠猫と妊娠猫で比較した。術前・術後の全血の粘弾性評価は、院内即時検査デバイスで、血餅時間(CT)、血餅形成時間(CFT)、α角、最大血餅形成(MCF)、10分および20分の振幅(A10、A20)、および最大血餅形成後のの30分および45分での融解指数(LI30、LI45)を測定した。

結果:腹部正中切開による卵巣子宮摘出術を猫193頭で行った。失血量の中央値は、非妊娠猫(<0.5ml 範囲<0.5−15ml)よりも妊娠猫(2.0ml 範囲 <0.5-13ml)のほうが多かった。術前検査では、非妊娠猫に比べて妊娠猫ではCFTの中央値が短く(165秒 vs 190.5秒)、A10の増加があり(25.5から31VCM単位へ)、A20の増加があり(35から38VCM単位へ)、LI45の中央値が低かった(100%から99% へ)。術後の検査では、非妊娠猫と妊娠猫の療法で、A10とA20が増加し、LI30とLI45が減少した。妊娠猫では、血餅時間の平均が術後に増加した。

結論と意義
:妊娠猫は非妊娠猫と比べて、比較的に凝固亢進状態にあり、血餅融解率が増加していた。術中失血は、非妊娠猫よりも妊娠猫の方が多かったが、臨床的な問題となる出血状態にはならなかった。