Loyd, Kimberly A., et al. "Retrospective evaluation of the administration of 25% human albumin to dogs with protein‐losing enteropathy: 21 cases (2003–2013)." Journal of Veterinary Emergency and Critical Care 26.4 (2016): 587-592.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27159733

本文:無料公開なし 

==アブストラクト===
目的:特発性の炎症性腸疾患(IBD)と蛋白漏出性腸症(PLE)と診断された犬への、25%ヒトアルブミン(HSA)の投与について記述すること。第2の目的は急性もしくは遅発性の有害事象についてと、これらの反応を防ぐためのコルチコステロイドの効果についてを報告すること。

デザイン:回顧的研究(2003-2013)

環境:民間の二次動物病院

動物:PLEと特発性IBDと診断され、25%ヒトアルブミンを1回以上投与された家庭犬21頭。汎低タンパク血症で、アルブミンが<1.5g/dL、血管外の液体貯留があり、病理組織学的に特発性IBDと診断され、完全な医療記録のある犬を組み入れた。

介入:なし

主な結果 :21頭中、2頭(9.5%)で急性反応に一致する徴候がみられ、そのうち1頭は反応が重篤であったために安楽死された。さらに2頭(9.5%)で遅発型反応に一致する徴候がみられ、うち1頭はその反応がみられた5日後に安楽死された(反応と安楽死との関連は不明)。コルチコステロイドの投与は有害事象の発生に影響を与えていないようであった。

結論:この回顧的研究では、PLEによる中等度から重度の低アルブミン血症 の犬への25%ヒトアルブミンの投与は急性もしくは遅発性の有害事象と関連することがあり、その中には重篤で致死的なものもある、ということを示した。


==訳者補足===
・国内で入手可能なアルブミナーには5%と25%の製剤があります。

・こうした薬剤を使用する場合には、使用する目的を明確にしておくべきかと考えます。”アルブミンを上げること”が目的ではなく、”どういった目的のためにアルブミンをあげたいのか”を明確にして、使用の是非を考えるようにしたいです。