D'ANJOU, MARC‐ANDRÉ, Agathe Bedard, and Marilyn E. Dunn.
"Clinical significance of renal pelvic dilatation on ultrasound in dogs and cats." 
Veterinary radiology & ultrasound 52.1 (2011): 88-94.

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==アブストラクト===
腎盂の拡張はしばしば犬および猫で超音波検査で認めらるが、様々な泌尿器のコンディションで期待される測定範囲については不明のままである。

81頭の犬と66頭の猫の腎盂の超音波画像を再調査し、医療記録をもとに6つのグループを作成した:
(Ⅰ)臨床的に正常な腎機能
(Ⅱ)利尿を伴う臨床的に正常な腎機能
(Ⅲ)腎盂腎炎
(Ⅳ)非感染性腎不全
(Ⅴ)流出路障害
(Ⅵ)その他様々な非閉塞性の異常

 腎盂の最大幅に中央値(範囲)は、
グループⅠ の犬11頭で2.0mm(1.0-3.8)、猫10頭で1.6mm(0.8-3.2)
グループⅡの犬15頭で2.5mm(1.3-3.6)、猫16頭で2.3mm(1.1-3.4)
グループⅢの犬9頭で3.6mm(1.9-12.0)、猫7頭で4.0mm(1.7-12.4)
グループⅣの犬33頭で3.1mm(0.5-10.8)、猫13頭で2.8mm(1.2-7.3)
グループⅤ の犬6頭で15.1mm(5.1-76.2)、猫17頭で6.8mm(1.2-39.1)
グループⅥの犬7頭で3.8mm(1.2-7.6)、猫3頭で3.0mm(1.3-7.5)
であった。
腎盂幅はグループⅢ-ⅤよりもグループⅠで 有意に低かった(P=0.0001)が、グループⅠとグループⅡに有意な差はなかった。腎盂幅が13mm以上であると常に閉塞が示唆された。両側の腎盂の拡張についてはグループ間で差はなかったが、腎盂幅の差(最大-最小)は グループⅠ,Ⅱ,Ⅳに対してグループⅤ で大きかった(P=0.0009)。

これらの結果は、臨床的に正常な腎機能の犬や猫でも
腎盂の拡張は超音波検査で検出され得ることと、腎機能不全、腎盂腎炎、流出路障害において増加することを示した。それでも腎盂の幅はグループ内でも実質的に異なるものであり、注意して解釈すべきである。