Grimes, Janet A., et al.
"Indirect computed tomography lymphangiography with aqueous contrast for evaluation of sentinel lymph nodes in dogs with tumors of the head." 
Veterinary Radiology & Ultrasound (2017).

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タイトル
:頭部腫瘍のある犬におけるセンチネルリンパ節の評価のための水性造影剤を用いたCT間接リンパ管造影法

==アブストラクト===
 センチネルリンパ節の評価は、ヒト医療では腫瘍が流入する最初のリンパ節を評価するために広く利用されている。センチネルリンパ節生検は、センチネルリンパ節への転移が陰性であり、それによって患者の罹患率が低下する場合に、広範囲なリンパ節郭清を回避することを可能にする。領域リンパ節は常にセンチネルリンパ節というわけではなく、そのためセンチネルリンパ節の特定と採材がより正確なステージングを可能にし、それは腫瘍の犬における治療や予後判定において重要である。

 この前向きの予備研究の目的は水性造影剤を用いたCT間接リンパ管造影が頭部の腫瘍を持つ犬においてセンチネルリンパ節を特定できるかどうかを決定することである。

 18頭の犬にCTリンパ管造影を行った。 16頭(89%)の犬でセンチネルリンパ節は造影剤注入から3分以内でうまく同定された。気管チューブの結紮によるリンパ管の圧迫は2頭(11%)の犬でセンチネルリンパ節の同定を遅延もしくは妨害した。

 水性造影剤を用いたCT間接リンパ管造影は頭部に腫瘤を持つ犬で迅速でうまくセンチネルリンパ節を同定するために利用できる。


==訳者コメント===
注)センチネルリンパ節(SN):腫瘍原発巣から直接リンパ流を受けるリンパ節のこと。最初のリンパ節転移が発生する場所と考えられている。センチネルリンパ節に転移はなければその他のリンパ節転移は生じていないと判断することができると考えられている。
慶應大学医学部/一般・消化器外科 上部消化管班 HPから一部引用・改変

  • ヒトではいくつかの腫瘍でセンチネルリンパ節の理論の有用性が確認されているようですが、動物では私の知る限りアウトカムの関連するような情報はまだないように思います(しっかり調べたわけではありませんが)。
  • 今回の研究からセンチネルリンパ節の同定はできそうですが、それがどのように治療や予後に反映されるかはさらなる調査が必要ではないかと思います。
  • 特に犬の頭部腫瘍のリンパ節転移はイレギュラーなことも多いようなので(頭部腫瘍のリンパ節転移)、そういった情報も踏まえて考える必要があるのではないかと思います。