Grobman, M., and C. Reinero.
"Investigation of Neurokinin‐1 Receptor Antagonism as a Novel Treatment for Chronic Bronchitis in Dogs." 
Journal of veterinary internal medicine 30.3 (2016): 847-852.

PubMedリンク
本文:無料公開(PDF

タイトル:犬の慢性気管支炎に対する新規治療薬としてのニューロキニン-1受容体拮抗作用の検討

==アブストラクト===
背景:犬の慢性気管支炎は、2ヶ月以上続く咳と気道の炎症をもたらす。副作用には生涯にわたるコルチコステロイドの投与に伴う二次感染のリスクが含まれ、代替療法への調査が促される。ニューロキニン(NK)1受容体に結合するタキキニンによって媒介される神経原生の経路は、咳と気道の炎症を誘発する可能性がある。マロピタントはNK-1受容体拮抗薬であり、経験的な改善に基づいて犬の慢性気管支炎の治療に提唱されているが、科学的な根拠はない。

仮説/目的:マロピタントは犬の慢性気管支炎に関連する臨床徴候と気道の炎症を鈍させる。

動物:2ヶ月以上の咳があり、胸部レントゲンによる気道疾患と気管支肺胞洗浄(BAL)における無菌性の気道炎症(>7%の非変性好中球、>7%の好酸球、もしくはその療法)の証拠がある家庭犬(n=8)が登録された。

方法:マロピタント(2mg/kg)が48時間毎に14日間投与された。研究のエンドポイントは臨床徴候(ベースラインと14日での調査と、ベースラインと7日と14日での視覚アナログスケール)と、BALの好中球と好酸球の%(ベースラインと14日)の飼い主の認識を含めた。一方向反復測定ANOVA(視覚アナログスケール)とウィルコクスン符号付きランクサム検定(BAl細胞、咳の頻度)がP<0.05で有意差ありとして用いられた。

結果
:マロピタントは咳の頻度(P<0.001)と視覚アナログスケールのスコア(P=0.005)を有意に減少させた。BALの好中球%または好酸球%は治療によって差は認められなかった(それぞれP=0.279、P=0.382)。

結論と臨床的重要性
:予備的結果によって、マロピタントは鎮咳特性を持ち臨床的な改善をもたらすかもしれないが、気道の炎症を消失させることはできず犬の慢性気管支炎の治療には適さないことが示唆された。さらなる研究によって、犬のその他の呼吸器疾患における咳の抑制剤としてマロピタントの評価をすることができる。
 

==本文から===
利益相反の開示:著者の利益相反なし