Wilson, C. R., et al.
"Biochemical evaluation of storage lesion in canine packed erythrocytes." 
Journal of Small Animal Practice(2017).

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タイトル:犬の濃厚赤血球の貯蔵障害の生化学的評価

==アブストラクト===
目的:生体外で保存された犬の濃厚赤血球に起こる生化学的変化(保存病変(storage lesion)として知られている)を記述すること。

材料と方法:クエン酸リン酸デキストロースアデニン中の非白血球誘導された 濃厚赤血球125ml単位10個を、市販の血液バンクで供血から24時間以内に確保した。サンプルは1,4,7,14,28,35,42日目に無菌的に採取し、ナトリウム、カリウム、クロール、乳酸、グルコース、pH、アンモニアの測定を行なった。全ての単位を42日目に培養を行なった。ノンパラメトリックデータについて、Dunnの多重比較試験によるフリードマン反復測定試験を使用した。パラメトリックデータには、Tukeyの多重比較検定による反復測定分散の分析をしようした。α(有意水準)は0.05に設定した。

結果:全ての検体は保存中に大きく変化した。1日目のアンモニアの平均(58.14g/dl)は、28日目(1266g/dl)、35日目(1668g/dl)、42日目(1860g/dl)よりも有意に低かった(p<0.05)。観察中の全ての期間で乳酸濃度の中央値の有意な上昇がみられ、1日目(4.385mmol/L)は、14日目(19.82mmol/L)、21日目(22.81mmol/L)、35(20.31mmol/L)、42日目(20.81mmol/L)よりも有意に低かった。pHの中央値は7日目以降に有意に低下した。全ての細菌培養は陰性であった。

臨床的重要性
保存中の犬の濃厚赤血球には、多くの生化学的変化が起こるが、それらの臨床的重要性を決定するためにはさらなる研究が必要である。


訳注)
storage lesionは保存病変と訳しましたが、これでいいのかわかりません。


==訳者コメント===
保存した濃厚赤血球には大きな変化が起こるようですが、生化学的にはアブスト内にもある通りこれが臨床的にどのような意義を持つのかは別問題として考える必要があります。