Hann, L., et al.
"Effect of duration of packed red blood cell storage on morbidity and mortality in dogs after transfusion: 3,095 cases (2001–2010)."
 
Journal of veterinary internal medicine 28.6 (2014): 1830-1837.

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タイトル:濃厚赤血球の保存期間が輸血後の罹患率と死亡率に及ぼす影響:3,095例(2001-2010年)

==アブストラクト===
背景:蓄積された根拠によれば、ヒトの患者において14日以上保存された濃厚赤血球の輸血は敗血症、多臓器不全、死亡の増加と関連していることが示唆されている。

目的:濃厚赤血球の保存期間が犬の輸血後の罹患率と死亡率に影響を与えるかどうかを調べること。

動物:ペンシルバニア大学マシュー・J・ライアン獣医病院に入院した犬。

方法: 2001-2010年の間に濃厚赤血球輸血(最低、5ml/kg)を受けた犬について、血液バンクの日誌から回顧的な症例再調査を行なった。貧血の主要な原因(例えば、出血、溶血、造血の無効)に従って犬を分類した。

結果:合計で3,095頭の犬が5,412単位の濃厚赤血球の投与を受けた。濃厚赤血球の保存期間が長いことが、凝固障害の新たな発生または悪化(p=0.001)と血栓塞栓症の発症(p=0.005)に関連していた。濃厚赤血球の保存期間と全ての犬全体の生存には関連は見られなかった。しかし、ロジスティック回帰モデルで、溶血のある犬(その内90%が免疫介在性溶血性貧血)では、濃厚赤血球の保存期間が長いことが生存に対する負の危険因子であった(95%信頼区間,0.64-0.97;p=0.024)。

結論と臨床的重要性
:濃厚赤血球の保存期間は、犬全体の集団においては死亡率に影響を及ぼす主な要因ではないようである。しかし、濃厚赤血球の保存期間が長いことは免疫介在性溶血性貧血の犬においては転帰に負の影響を与える可能性があり、前向き研究でさらに調査をする必要がある。 


==本文から===
輸血後合併症
・多臓器不全 83/3178(2.6%)
・血行動態不全 132/3129(4.2%)
・呼吸不全 205/3056(6.7%)
・神経障害 39/3222(1.2%)
・凝固障害 50/3211(1.5%)
・敗血症  16/3245(0.5%)
・DIC   44/3217(1.3%)
・Dダイマー上昇 45/3216(1.4%)
・血栓塞栓症 50/3211(1.5%)