Machen, Maggie C., et al.
"Multi-centered investigation of a point-of-care NT-proBNP ELISA assay to detect moderate to severe occult (pre-clinical) feline heart disease in cats referred for cardiac evaluation." 
Journal of Veterinary Cardiology 16.4 (2014): 245-255.

PubMedリンク PMID:25456274
本文:無料公開なし

タイトル
:心臓の評価のために紹介された猫における中程度から重度の潜在性(前臨床)の猫の心疾患を検出するための院内(point-of-care)NT-proBNP ELISA活性の多施設間調査。

==アブストラクト===
目的
:心疾患が疑われる猫の臨床集団における中程度から重度の潜在性心疾患の可能性を評価するための院内N末端pro-B型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP) ELISA活性の診断精度を前向きに評価すること。

動物
: 心雑音、ギャロップリズム、不整脈もしくは心拡大を伴う無症候性の家庭猫146頭。

方法
:身体検査、血圧測定、心臓エコー検査を前向きに実施した。院内ELISAはエコー検査結果を盲検化された読み手が、陽性か陰性かを視覚的に評価した

結果
:健康な猫43頭、軽度の潜在性心疾患50頭、中程度の潜在性心疾患31頭、重度の 潜在性心疾患6頭、心疾患が疑わしい16頭が調べられた。潜在性心疾患の猫は、肥大型心筋症65頭、拘束型もしくは分類不能の心筋症6頭、不整脈源性右室心筋症1頭、非心筋症型心臓疾患15頭が含まれた。院内検査ELISAは中程度もしくは軽度の潜在性心疾患を感度83.8%、特異度82.6%で鑑別し、全体の正確度は82.9%であった。院内検査ELISA陽性は、陰性と判定されたものに比べて中程度または重度の潜在性心疾患の可能性を4.8倍増加させた。心筋症性の潜在性心疾患の感度は88.6%、特異度は81.3%、全体の正確度は83.2%であった。

結論
:心臓の評価で紹介された猫の選ばれたサンプルにおいて、院内検査NT-proBNP ELISAが陽性であると中程度から重度の潜在性心疾患である可能性が高まり、陰性であることは中程度から重度の潜在性心疾患を除外する。


※利益相反・企業関与については本文を読めないため不明

訳注)point-of-care test:患者の傍で行う検査のことで、 ベッドサイド検査などとほぼ同義のようです。動物医療では院内で行える検査を指すと思うので、ここでは point-of-careを”院内検査”と訳しています。


==訳者コメント===
結果から計算すると
陽性尤度比=0.838/(1-0.826)=4.8
陰性尤度比=(1-0.838)/0.826=0.19
で、そこそこ役に立てることができそうな検査のようです。 

当然ですが検査前確率を考えて検査を利用する必要があります。健康集団などにスクリーニング的に適応した場合の結果(偽陽性が多くなる)は注意して解釈し、そもそもそういった集団に対して行うべき検査かどうかをきちんと考える必要があります。