Gowan, Richard A., et al.
"Retrospective case–control study of the effects of long-term dosing with meloxicam on renal function in aged cats with degenerative joint disease." 
Journal of Feline Medicine & Surgery 13.10 (2011): 752-761.

PubMedリンク PMID:21906984
本文:google scholar経由で入手可能(PDF

タイトル
:変形性関節症のある高齢猫における長期のメロキシカム投与が腎機能に与える影響の回顧的症例対象研究

==タイトル===
 猫専門診療の医療記録(2005-2009年)について、メロキシカムによって治療された変形性関節症(DJD)の猫を検索した。DJDは少なくとも以下のうち2つの存在により診断した:(ⅰ)運動性の変化(飼い主による観察)、(ⅱ)身体所見の異常、(ⅲ)特徴的なレントゲン検査の変化。主要な研究集団は、6ヶ月以上の様々な期間メロキシカムを投与された7歳以上の猫から構成され、完全な記録が利用できるものとした。これらの猫は検出されうる慢性腎臓病(CKD)が存在する(腎臓グループ)か、存在しない(非腎臓グループ)かどうかにしたがい、腎臓グループは猫のIRISカテゴリーにしたがって細分類された。血清生化学、尿検査(尿比重(USG)を含む)、体重とボディコンディションスコアを定期的にモニターした。腎臓グループと非腎臓グループにおけるCKDの進行は、メロキシカムの投与を受けていない
年齢とIRISを適合させた対照猫の2つのグループ(同じ診療所で同じ時期の猫)と比較した。この研究は2つの研究グループをもつ症例対照デザインとした。
 長期のメロキシカム治療をうけた38頭のDJDのある猫が組み入れ基準に適合した。それらのうち22頭は治療開始時に安定したCKD(ステージ1;8頭、ステージ2;13頭、ステージ3;1頭)であった。最初から尿タンパク-クレアチニン比の上昇した猫はいなかった。のこりの16頭は最初は正常な腎臓検査値を有し、十分に濃縮された尿であった。”腎臓”と”非腎臓”のメロキシカムグループの年齢の中央値は15.5歳と13.4歳であった。治療期間の中央値は腎臓グループで467日、非腎臓グループで327日であった。最低有効用量まで減量したのちの維持投与量の中央値は、両グループともに0.02mg/kg/day(範囲 0.015-0.033mg/kg/day)であった。メロキシカムの治療をうけた非腎臓グループでは、メロキシカムの治療を受けていない対照猫と比較して、連続的なクレアチン濃度またはUSGの測定においいて差はなかった。メロキシカムの治療をうけた腎臓グループのでは、年齢とIRISを適合させたメロキシカム治療のないCKDの猫と比較して、腎疾患の進行は少なかった。
 これらの結果は0.02mg/kgのメロキシカムによる長期の維持投与は、7歳以上の猫においても、仮にCKDがあったとしても
全体的な臨床状態が安定していれば安全である可能性があることを示唆している。メロキシカムの長期治療はCKDとDJDに罹患している猫の一部で腎疾患の進行を遅らせる可能性がある。これらの知見を検証するためには、前向き研究が必要である。


==本文から===
利益相反:Laura JohnstonとWibke StansenはBoehringer Ingelheimの従業員である。Richard Malikは猫でNSAIDを長期使用するためのコンセンサスガイドラインを作成するためにISF Mが招集した専門家パネルの一人である。Scott Brownは
Boehringer Ingelheim Vetmedica, Inc.のコンサルタントを務めている。


==訳者コメント===
はたしてこの研究は症例対象研究なのでしょうか?あんまりそうみえないのですが(勉強不足だからかもしれません。